トッシーさんと布袋さまのTPS(ターニングポイントストーリーズ)
人生にはターニングポイントがつきもの。人生の選択で人は変わる。幸せへ向かうための一歩を、人はどのようにして歩みだしているのだろうか。そんな幸福へ歩みだすきっかけをご紹介。
夫の入院中、先輩からお茶の道具を譲りうけることになった。 その方は茶道の先輩から、「お道具を処分しようと思っている、捨ててしまうのももったいないので、中から使えそうなものは差し上げます、」とのこと。
車を走らせ先輩のもとに行った。
いろいろなお道具の中に、大きな箱と小さな木箱があった。大きな箱にはお湯を沸かす釜が入っていて、いただくことになった。もう一つの小さな木箱の中には布袋さま。お腹も出てるし、しかもおへそまであらわに。「私の趣味には合わないわ、だって裸だもの!」さすがに頂けない。お宅から帰らせていただこうとしていたその時、神様を置いて帰って良いのだろうか。このまま布袋さま、処分されてしまってよいのかな、という思いになった。そして、趣味には合わないけれど、神様をお預かりすることにした。
夫の入院に付き添う日々を送り、その後、夫は旅立っていった。65歳の若さだった。こんなに早く旅立ってしまうなんて、布袋さまは夫を助けてくれなかった、そんな思いも湧くぐらい、大好きな夫だった。老後独りになる寂しさと不安が、こころの中を満たしていたのかもしれない。
夫とはいろんな話をした。不思議な話も共有できる夫だった。「あの世があるのなら、亡くなった後もちゃんと私に合図をよこしてね。真っ赤なバラの花がいいわ、花びらも散らしてね」そんな約束もした。
ある日、台所のほうから、かぐわしいお香の薫りがしてきた。それは練香の『初音』の甘い香に似ている。これはきっと夫からの合図に違いない、そう思っている。
最近、「トッシーさんの耳って福耳ね。」っと、声をかけていただくようになった。今までそんなことあまり言われてこなかったけど、そういえば福耳なのかも。確かに、夫が居なくなってから、不思議とお金の不安は感じてない。『何とかなる!』、と思っている。お金があるとかないとか、そういうことではなく、たくさんお金があっても不安を感じている人もいれば、お金がなくとも毎日を楽しく暮らしている人もいる。こころの在り様なのだ。
そう思っていたとき、ハッとしたのだ。この私がどうして不安に感じていないのか。福耳といえば、布袋さま!もしかしてこれは、布袋さまのおかげなのではなかろうか。そう、布袋さまに守っていただいている。
茶道を多くの方に
最近は茶道の普及のために、zoomで講座を始めている。若い人たちに支えられ、facebookも知らなかった私が、いずれはyoutubeで動画配信もしていきたい。日本の伝統の茶道、そして禅の精神を、多くの日本人に知っていただきたい、そう思ってる。
そんな新たな目標を掲げている私の傍らで布袋さまは、お腹を出したまま、今も玄関で鎮座してくださっている。
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