夢も目標もない文系女子が就職活動から学んだこと
大学三年生になった頃、つい最新までまともに大学にさえこなかった友人たちが一斉に黒染めをし、飲んでばかりいたはずなのに学生時代に頑張ったことを自己分析し始めた。 「インターンシップ」「自己分析」「キャリアステップ」難しい言葉に聞こえて、焦りばかりが募る。周りの意識ばかりが高くなり、とりあえず「1dayサマーインターンシップ」とやらに申し込んでみた。参加したはいいものの、1日の半分くらいは会社の説明をされて、そのあとはインターンシップの参加者で構成されたグループで自分の将来について考えるディスカッションをさせられた。その日に出会ったばかりのどこの誰かわからない人と自分の将来について話し合って何になるのだろうと思った。1日を終えたあと何が身についたのかわからないまま満員電車に揺られて自宅へと帰った。
周りは一生懸命就職活動に励む中、特にやる気の出ないまま時間だけが過ぎ大学四年生になろうとしていた。日系企業たちは3月に入ると一斉にエントリーの受付を開始した。
友達たちは思うようにうまくいかない就職活動に日々に嘆き、SNSで辛い辛いと言っていた。 でも私は何もせずに就職活動に挑んでしまっていたため、一喜一憂する間も無く友人達が去年から頑張っていた就職活動の穴埋めをしようと必死だった。だから感情表現をする余裕さえなかった。
4月が終わろうとしていた頃、面接を何社か受けているうちに気の合う面接官と出会った。そのおかげで何もしていなかった割に運良くそこそこ名前の知れている会社から一般職の内定を貰った。特に夢も目標もなかった私にとって事務作業を行うことが仕事である一般職の採用は幸運以外の何物でもなかった。
周りの友人達が就職活動に打ち込む中、内定を持っていた私はバイトと遊びに生きていた。勝ち組だと思っていた。
夏頃になると一生懸命就職活動をしていた友人達が納得できる会社から内定をもらい就職活動を終えた。久しぶりに飲みに行くと、来年から始まる社会人生活への夢や希望を語っていた。その姿はものすごくキラキラしていて眩しいほどだった。
そのキラキラ眩しい友人達の姿を見てから後悔で毎日苦しむようになっていた。 やりたいこともなく、夢や目標もなく、希望もない。 でも本当は違かったのかもしれない。
【夢や目標や希望を語ることを諦めてしまっていた】正しくはこれだった。
私は幼い頃から文章を書くことが大好きだった。心のどこかで文章を書く仕事ができたらいいな、と思っていた。その理想を誰にも語ることなく勝手に諦めていた。勝手にできないと思っていた。
就職活動をやり直した。 結果はうまくはいかなかった。
今、働きながらライターをしている。
まだ、ライターと名乗っていい身分ではないのかもしれない。でも、ライターと名乗る自分が好きだ。そして文章を書くことへの喜びを強く感じている。
いつか、胸を張って言いたい。
「私のライターになるという夢は叶った」と。