負けヒロインが多すぎるを観た感想
最終回を迎え絶賛好評を博したアニメ負けヒロインが多すぎる(以下マケイン)を多少遅ればせながらも視聴した。
ラブコメは自分のイメージだと基本的に一人に対して複数人の異性が好意を抱き、一つしかない恋人や正妻の席を巡って誰がハートを射止めることに成功するかを争うストーリーだ。
その点、マケインは三人のヒロインは主人公はあくまで友人や知り合いという立ち位置で本命の男子がおり、全員が物語の中で失恋を経験する様子が描写されていく。そして主人公はモブとしての立ち位置からそれらの恋愛模様に巻き込まれるのだ。
ヒロイン達が主人公以外の男性との恋愛に対する葛藤する場面というのは基本的にヒロインレースから脱落させる過程、あるいは停滞・マンネリ化した恋愛模様に動きを付ける為に設けられるイベントというイメージなので新鮮に感じた。しかもどっちの男を取るかといった天秤でなく各ヒロインの本命に対する本気の恋愛模様を描く中でヒロインの魅力や人柄といったものが分かり、その先に続くであろう主人公との恋愛模様にも期待がかかる。各ヒロイン達の本気の恋愛が主人公との恋愛における壮大なプロローグとして機能しているのだ。一つの物語に三人分の恋愛模様をぶつけてくるのだから話の密度も自然と高くなる。その上で成立したカップルの行方まで絡んできたりするのだからネタの引き出しも増える。多くの作家が一つの恋愛模様の質を練りに練る中でヒロインを負けヒロインにし数の力で攻めてきた今作は目から鱗の発明だった。
マケインは評判に違わぬ面白さで最後まで楽しく視聴する事ができた。二期の制作もいずれされるだろう。一期で各ヒロインの失恋は描写されたので二期では徐々に主人公との恋愛模様にシフトしていくと予想される。どんなシナリオが待っているか楽しみだ。