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伝説の安心感【毎週ショートショートnote】

この国には古来からの言い伝えがあった。
曰く、国に危機が訪れることがあっても、必ず勇者が訪れてその危機を回避することが出来る。
勇者は国が深刻な危機に陥る15年前に誕生する。
勇者が誕生した際には国民全員一丸となって、その成長を見守るべし。

言い伝えは子々孫々、代々伝えられてきた。
孤児であっても、村長や町長、孤児院の院長などが必ず覚えさせる。
学校では生徒が覚えているかを確認する。
勇者の誕生を見逃すことを避けるためだ。

勇者の誕生した15年後には、国が深刻な危機に陥ることになるのだ。
その兆しを見逃すわけにはいかない。

「それでは皆さん、勇者の特徴は?」
「新月の夜に生まれる」
「髪の毛が金色」
「オッドアイ」
「口元と目元にほくろがある」
「左手の甲にあざ」
「生まれてすぐ3カ国語を話す」
「生後1ヵ月で反復横跳びをする」

「正解です」
過去に該当する赤子が生まれたことはなく、今後もないだろう。
この国はずっと平和だ。
教師は満足そうに頷いた。

410文字


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。

お題は「伝説の安心感」でした。
書き終えてから、前回のお題のグリム童話を絡めれば良かったかもと思いました。
伝説って聞くと、勇者とか聖女とか剣とかを連想してしまいます。
某サイトで悪役令嬢とか婚約破棄のざまぁ物を読み過ぎているからでしょうか……。

裏のお題は「建築の頓珍漢」です。

グリム童話どころか、その前のメガネもピアノも、まだほとんど読めていない。
過去の「毎週ショートショートnote」のまとめはこちらで読めます。

皆さんの面白い作品がたくさんあるので、ご興味ありましたら読んでみて下さいね。
私も読みたい。

読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。

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羽根宮糸夜
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