誘惑銀杏【毎週ショートショートnote】
この領地を治める領主の家にはたくさんの絵画が飾られている。
先々代の領主が絵画を好み、画商を呼んでは絵画を収集していたのだ。
作者の知名度には拘らず、好みに合う絵画を集める人物で、蒐集家というよりは収集家であった。
彼が好んで求めたのは風景画で、一番気に入っていたのは大きな一樹の銀杏が描かれたものだった。
少し殺風景な広場に生えた銀杏の木は堂々と枝を広げ、鮮やかな黄色の葉をまとっている。
さびしい雰囲気の広場に彩りを与える銀杏の木は生命力に溢れ、凜とした美しさと優しさを兼ね備えた麗人のようにも見える。
派手さはないが目を奪われる絵だ。
屋敷を訪れる者たちも皆、この絵の銀杏に目を惹かれる。
しばらくの間、無言で絵を見つめるものも少なくない。
この絵は屋敷を訪れる者たちの目を楽しませていた。
だが、誰も気づいていなかった。
絵には呪いがかけられ、銀杏が自分に惹かれた者の生命力を吸い取っていることを。
銀杏の花言葉が「長寿」であることを。
(410文字)
こんにちは。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「誘惑銀杏」です。
今回のお題を「いちょう」と読むか「ぎんなん」と読むか、少し考えた羽根宮です。
ちなみに今日の夜ごはんは、三種類のおこわが入ったお弁当でしたが、その内の一つにはぎんなんが入っていました。
今回のショートショートには全然反映されませんでしたけど。
イチョウといえば、学名のGinkgoはイチョウの別名の銀杏 (Ginkyo)を誤記したものがそのまま使われたのだと、高校の生物の先生が言っていました。
イチョウは英語でもginkgoで、間違ったものがそのまま伝わったらしいですね。
なんとなく思い出しました。
今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら。
ちなみに今回の見出し画像を作ろうと思ってAIさんにお願いしたら出来た画像はこちら。
イチョウの木の絵画は難しいようでした。
Copilotさん、いつもありがとう。
読んで下さってありがとうございました。
四季では一番秋が好きな羽根宮でした。
ご覧下さいましてありがとうございます。もしサポートいただけましたら、感謝して活動費に充てたいと思います🐱