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腋の薔薇時計【毎週ショートショートnote】

窓から梟が入ってくる。彼の使い魔だ。
彼は森に住む魔術師。
この国で実力ある魔術師の多くは城内で働いていて、身分も保証されるのだけど、彼の気質には合わないらしい。
お城勤めではない彼を両親は認めておらず、密かに手紙でやりとりをしている。

使い魔が運んできた手紙を読む。

「ええと……腋?の薔薇?時計?」

急いで書いたらしく、ただでさえ癖のある字が余計に読みにくい。
どうやら夜のデートのお誘いだ。しかも今から。
突然だけど嬉しい。もちろんOKだ。
承諾の手紙を渡すと梟は瞬時に姿を消し、次の瞬間、彼が部屋の中にいた。

「行くよ。今日は月が明るいから薔薇もきれいに見える」
私の手を取って彼は再び瞬間移動をして、着いたのは城下の薔薇園。
沢山の花壇や迷路、日中は薔薇茶を出すカフェもある。
何より立派なのは中央にある大きな薔薇時計。
植えられた薔薇の文字盤の上で針が時を刻んでいる。

「月夜の薔薇時計、きれいでしょ?」
「……ええ(腋じゃなくて月夜!)」

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
裏お題「腋の薔薇時計」です。


腋の薔薇時計ってなんですか?!

と、お題を見て思いまして。
こじつけて書いてみた次第です。はい。

現代物だとLINEとかSNSのDMとかでのやりとりになり、誤変換はするかもしれませんが、このネタは使えないかと思って。
使い魔が手紙を届ける世界線にしました。
もともとファンタジーが好きなので、そちらに寄りがちです。

私の使い魔は猫がいいな。

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読んで下さってありがとうございます。
羽根宮でした。

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羽根宮糸夜
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