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【爆笑人生64 めざせ!リゾート王】ホテル行こか……。六泊七日、覚悟しいや
ボードゲームというのはいざ遊びはじめるとこれがやはりおもしろく、家族親戚友人らとボードを囲み和気藹々。
スマホでゲームな現代、こうした遊戯の良さを改めて認識せずにはいられません。
だれでも遊べるとっつきやすさと、運次第でどうにでも転ぶゲーム性がボードゲームの魅力ではありますが
コンピューターゲームだからこそ楽しめる細かいギミックを活かし、運だけではなく自らの手で勝利をつかみ取っていくのも一興ではないでしょうか。
今回取り上げるのはニンテンドー64の
爆笑人生64 めざせ!リゾート王 というゲームです。
一見ただの人生ゲームかと思うタイトルですが、どちらかといえばモノポリーのそれに近いボードゲームです。
ゲーム機で遊ぶボードゲームというジャンルの中でも特にマイナーなゲームであることは否めませんが、このゲームをプレイしたものの多くがその魅力に憑りつかれてしまうこと必至です。その理由を追っていきましょう。
御存じボードゲームの例に漏れず、二つのサイコロを投げて盤上を周回していきます。
土地を買い店を買い、そろえた土地を合併させてホテルを建て、止まった(泊まった)プレイヤーから料金を徴収。時には他プレイヤーとの取引も駆使し資産を増やすのです。
しかしそこは爆笑人生。「ただのモノポリーじゃないか」とは言わせません。
イベントも豊富ですし、その場でランダムにイベントが発生するカードマスもあります。
銀行を通過すると決算がありますが、店やホテルの利益がボーナスに追加され、土地を持っていればその分税金を取られる細かい処理もあり、不動産の運用加減が問われます。場合によってはボーナスをもらうはずの決算で赤字という事態にも!
……さて、コンピューター制御だからこそということで紹介してきましたが、これだけだとあくまでもゲーム性はシンプル。運が重要なのは疑いようもありません。
しかしそこに、人為的操作が可能で、間接的かつ簡単に資産運用が可能な要素が加わるとどうでしょう。
そう。このゲーム最大のポイントは
通過型の証券取引所マスがあり、株の運用ができる点にあります。
この株による資産運用がゲーム内の資金運用を活発にし、プレイした人を虜にする魅力的な要素なのです。
4人のプレイヤーにはそれぞれ株価が設定されており、その4者(誤字ではない)の株を証券取引所で購入。買った株は好きなタイミングで自由に売ることができます。
株価はイベントで変化することがあります。しかしあくまでプレイヤーの名を冠した株ですから、主な株価の変動はそのプレイヤーのプレイングに左右されるのです。
ホテルを建設・増築あるいは店を購入すると株価は上昇。店舗を手放す、規模を縮小すると下落といった具合にプレイヤーの行動が影響します。
他にもプレイヤーがターン中にその株を10株以上買うと上昇・10株以上売ると下落します。
もちろん他者の株を買うことができますから、極端な話サイコロ運が悪くどんなに不動産運用で勝ち目がない状況でも、場の流れを読み株の売買を行うことで資産を増やすことができるのです。
直接プレイヤー同士で取引をする場合は各々の思惑を超える交渉術が欠かせませんし、それが醍醐味でもあります。
が、プレイヤー同士というのはやはり資金や不動産という武器があってこその資産運用になりますよね。相手より優位に立つには、どうしても運は重要です。
しかし証券取引所という間接的かつ簡単でしかも人為的に株価を操作できるという市場があれば、実力で勝利に近づくことができます。
流石に株だけで勝てるとは言いませんが、非常に大きな意味を持つ要素であることは疑いようもありません。運と株の二つがあれば、不動産が無くても勝てるくらいには重要です。
絶対の自信があれば、とにかく自分の株を大量に所有しておいて必要な時9株ずつ売って株価を下げないようにしながら資金を確保しホテルを建てて株価上昇させることで、ホテル利益と株価上昇で資産をぐんと増やすことができます。
立ち上がりが悪い場合は、調子のいい人の株を事前に買っておけばその人の成功したとき甘い蜜を吸えます。株価上昇で相手に利益を与えてしまうという印象を与えられますし、地味ながらも配当金といった要素もあるのでその人への牽制にもなります。
あえて10株ずつ売って他の人が持っている株の株価をじわじわ下げていくなんていう戦法も、ありかもしれません。あくまで間接的な影響しか与えられませんが、この手のゲームでは自分の意志で行えることに意義があるのではないでしょうか。
株のおかげで資金のやりくりも工夫できるようになり、活発な取引で地価も上昇……といった具合にヒートアップしていきます。
店やホテルも数多くの種類があり、それぞれイベントが用意されていて効率・趣味等々広いニーズに対応していると思います。
ホテルを最大まで増築すれば、洒落にならない宿泊料でプレッシャーを与えることも。トラップを仕掛けて6泊させた時のボードゲームならではの快感はたまりません。逆もまた然りですが。
一人プレイでも個性的な対戦相手が用意されていますどうせコンピューター相手ですから、思う存分非道の限りを尽くして勝利をもぎとりましょう。毎ターンセーブして希望の出目が出るまでリセットしたり
運だけではなくプレイヤー次第でどうにでも動いていくゲームバランスは、一人プレイだと爽快かつ敵がなかなかしたたか(取引するとなるとがめつい。莫大な資金を用意して、狙っていたマスの物件を強制買いすることも)なのでうまくまとまって面白いですし、対人戦だと一層駆け引きが楽しめます。
当然ではありますが、運さえあれば一発狙えるということを忘れてはなりません。「しかし実力でお膳立てできれば……」というのがこのゲームの魅力なのです。
株に関する要素をはじめ、コンピューターゲームだからこそ活発な資産運用をストレスなくスムーズに行える……
これぞコントローラーを握って没頭する価値のあるボードゲームと言えましょう!
2013-06-23公開
#6【爆笑人生64 めざせ!リゾート王】ホテル行こか……。六泊七日、覚悟しいや
あとがき
小馬谷氏が動画投稿できない週があっても記事の投稿で更新できるように、と様々なゲームジャンルの記事を書き溜めていた中で、毎週連続投稿の機会が早速訪れた為寄稿に至った記事でした。
あまりメジャーではないような作品を取り上げたいという想いもあり、ボードゲームというジャンルで選んだのが爆笑人生64 めざせ!リゾート王というゲーム。
コンピューター制御で遊ぶボードゲームは数多くありますが、本作は一人で遊ぶにしても、家族や友達と対戦するにしても、分かりやすさと奥深さ、実力と運の塩梅が絶妙。
記事でも取り上げたように、現金のみからスタートし、プレイヤーとサイコロの采配によって、現金、株式、不動産という3種類の資産へとどのように配分し運用していくかが問われるゲームです。この奥深さの部分を突き詰めていくと、資産運用におけるポートフォリオの考え方やリスクヘッジの重要性を実体験として学べる、と評価しても差し支えない、優れたボードゲームといえるのではないでしょうか。
…とんでもなくふざけたタイトルのあとがきで、今更こんな真面目なまとめ方をしようとしても説得力がありませんね。ごもっともです。