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仮説に仮説を積み重ねるのはもうやめよう -事象ファースト-


複数daysインターン「あるある」

夏インターンもひと段落すると、ジョブやインターンでこんな気持ちになった経験が生まれたのではないでしょうか?

「みんなで話し合って正しそうな戦略/施策案が出た」
「でも自分がそれを使う気はそんなにしない」
「想定顧客は使ってくれそう。。。たぶん」

でもみんなでインターン頑張ったよね!お疲れ!
飲み行こ!


もちろんみんなで「正しそう」な結論が出た時点で、他チームと比べて優秀なチームだったかもしれません。ですが、上記の感想が出てくるような案に自分の資金/時間をフルベットできるでしょうか?

あらゆる制約を排除してビジネスのことを考えるなら、「確実にユーザーが使ってくれる・反応してくれる」と一定の確信を得られる事業案/施策案を作りたいですよね。


でも大体出てくるアウトプットには確信がない。もしくは確信していたけど最終発表の質問の回答を準備しているときに半ば自分を信じ込ませるようにロジックを書いている。そんな事象を自他ともに目撃してきました。


そんな事象を経験したことのある皆さんには有益になるであろうtipsを、自分の思考の整理と体系化のためにドキュメントに落としてみました。

「あるある!」と思うようなワークのプロセスやアウトプット例も2つ挙げています。
お手隙の際にご興味があれば、ぜひご覧ください。



「正しそうだけど腹落ちしない」理由

この事象が起こる理由はもちろん時間的/資金的な制約にあります。
しかしその制約があると踏まえた上でも、チームメンバーの「仮説思考」や「イシュードリブン」という知的生産プロセスに対する理解の浅さも一定この事象に影響していると考えています。


とはいえ僕らはまだただの学生。テニスラケットとストロングゼロを握るくらいしかやったことがないですよね。

そこで学生でもできる効果的なイシュードリブンの考え方、「事象思考」について自らの考えをまとめます。記述内容的に、ある程度コンサルのジョブや複数日数インターンを踏んだ人向けになってしまったかもしれません。



この記事を書いている人


face @worknonit_25
普通の25卒学生。20歳のガキ。事業譲渡経験あり。事業会社/広告代理店のインターンに参加しました(具体名は身バレが怖いので気になったらアカウントのbioを見てください)。

お分かりの通り、このドキュメントは「学生のご高説」です。決して信じることなく、自分としては全力で今考えていることをぶつけに行くので、「これは違うな」「これはそうだわ」というような感じでご自身の思考の種にして欲しいです。

本来ならここで「MBB内定」「外資系含め9社に内定 / 有益な情報を発信中」みたいな権威づけをするべきなんですけど(笑)


仮説は検証するまで妄想である

大前提なのですが、仮説というのは乱暴に言ってしまえば妄想です。

「このサービス/プロダクトの価値は**なのではないか」
「このターゲットは{ }という課題を持っているのではないか」
「{ }という課題に対して< >を提供すれば使ってくれるのではないか」

これらは全て妄想、「お気持ち」です。
そしてこの「お気持ち」は現実世界ではほぼ外れます。

仮説は検証して初めて効果があります。



一見「上出来」 でもダメな仮説検証の進め方

ここまで読んだ読者の方は

「そんなことわかってる、仮説を立ててそれを証明する事実や調査結果を集めればいいんだろ」

と考えると思うのですが、個人的には上記のような雑な理解が腹落ちしないアウトプットの原因なのではないかと考えています。


ここにいわゆる「上出来」だけどダメ(だと自分では思う)なチームのアウトプットまでのプロセスを書いておきます。
「ダメ」というのは、これは本気で事業について向き合うならば良くないプロセスだということです。

具体的にどの部分がそうなのか、ぜひ考えながら読んでみてください。

3daysジョブ 1日目
「お題:人材業界の課題を解決するサービスを立案せよ」
4人構成のAチームの動き
12時:とりあえず人材業界の全体感を把握して調査開始
15時:矢野経のデータから、「IT人材」「転職」を参入領域に決定
16時:「IT人材が転職で課題に感じることアンケート」「IT人材が転職の際に求めるもの」というドキュメントや既存サービスのカオスマップを見て議論を深める
18時:「IT人材は転職する際に、業務内容や待遇の説明だけで、入社後に身に付くスキル経験、その経験によって年収が上がるようなキャリアプランを知ることができないのが課題なのではないか」という仮説(注:お気持ち)を立てる
残業:既存サービスを各々調査して明朝発表

3daysジョブ 2-3日目
12時:既存サービスの概観をチームで把握し、機能面から、入社後のキャリアプランという側面では既存サービスが満足したものを提供できていないとチームで判断
14時:IT人材と連絡先を繋げてもらい、ヒアリング。ヒアリング内容と課題の仮説にズレがない(←注:それが課題の仮説を直接証明しているわけではない)ことをチームで確認
15時:「『入社後に身につけられるスキル』が明確にわかって、転職を含めた入社後のプランを提示してくれる転職プラットフォーム」に提供価値設定(注:えっ?課題まだ仮説のままだよね…?その価値もどっから出てきた…?その価値が実際にウケる根拠あんの…?)
18時:TAM/SAM/SOMを調査し、ターゲットの具体的なペルソナ(注:お気持ちです)、具体的なサービス(MVP)を設計(注:お気持ちです)し、具体的にIT人材の中でも特定のスキルを持った人材からアプローチすることで競争に打ち勝っていくことにする
残業&3日目:マーケ/拡大施策を議論する・スライドを作ってメンターに壁打ちしながら修正&発表!

優秀そうなチームですし、自分もこのようなプロセスでワークをして満足していた時期もあります。



ですが、この「転職プラットフォーム」、本当に使ってくれるでしょうか? 

実は転職者の多くは「エンジニア 転職」と検索して出てきた検索上位3件をテキトーに選んで満足しているかもしれません。

実は転職者の多くはキャリアプランなんて気にしておらず、アンケートの結果以上に「次の職場の待遇」以外気にしていないかもしれません。

キャリアプランを気にしている転職者でさえ、実は自分自身で将来像を考える過程や苦労そのものに意義を見出しているのであって、コアな提供価値となる機能が意外と刺さらないかもしれません。

そもそも、「その提供価値が実際にウケた事例は?ない?ないかもしれない価値をベースにしてその下の実装方法検証すんの?無駄だし無理じゃね?」と言われても言い返せなさそうです。

さて、このサービスを(ひいては、あなたがこれまでインターンやジョブで提案してきたあらゆるサービス/施策案を)実現させるためにあなたは全資産を投げ打って&個人名義で借金できるでしょうか?

もちろんこの問いに「はい」と答えられるような案を数日の議論のみで作れるわけありません。

しかし、「細かいところはまだわからないけど、もう少し検証したら高確率でイケそう、そのために数十万 (社会人のみなさんへ:学生基準、これは高い額なのです) くらいなら投げ打ってもいい」という感覚を得るところまでは目標にしたいところです。

さっきのワーク例は自分で十数分で書いたものなのでツッコミどころは無限にあるでしょう。しかし優秀なチームでも、このようなプロセスの延長のようなことが行われていることがほとんどです。



「正しそうな妄想」のワナ

上記のプロセスの真に問題な部分はどこか。
それは「論理のコアな部分から仮説を排除できていない」
ことにあると考えています。


例えば、先例で「サービスの提供価値」はどうやって考えていったでしょうか?

チームでネットサーフィンして調査結果を概観し、「課題の仮説」として設定して、そこからヒアリングを行って実際にその課題が存在しそうなことがわかったので、その「課題を解決する仮説」を考え、これらの仮説を補強するデータを取ってくるというようなプロセスでした。

でもこれは「正しそうな妄想」という範疇を超えていません。
「仮説検証」の「検証」の意味合いを踏み違えています。



仮説を検証せぬまま前に進むチーム


では、どのようなものがあれば仮説は「検証」されうるのでしょうか?

答えはめちゃくちゃシンプルで、
「仮説に直接答えている事象」が必要です。

「これがユーザーにとって課題なのではないか」という仮説に対しては、

「SNSやレビューで 既存サービスの離脱ポイントが明らかになっている / 不満が表出しておりそこが離脱ポイントとリンクしている」
「構造的に課題であることが明らかであり、ユーザーも不本意ながら他の代替手段を持ってなんとかしている」

等の直接的な事象が、

「この価値があるものは使われるのではないか」という仮説に対しては、

「実際に他サービス/自サービスでその提供価値がプロダクトとして使われている」

等の直接的な事象がそれぞれ本来は対応するはずです。


それなのに、

「アンケートでそれが課題だと回答していた」
「ビジネスインサイダーの記事でそれが課題だと解説されていた」
「アンケートやヒアリングで出てきた課題が起こる理由はこの部分にあるのではないかとみんなで議論した」

くらいの間接的な事象を「仮説」と紐づくように「解釈」して、その後のチームの方針を実質的に決定してしまうようなプロセスが散見されます。


その「解釈」がたまたま上手くいっていたかどうかが最終的なアウトプットの納得感を左右する超絶運ゲーを、業界未経験、ビジネス経験も乏しい学生チームで仕掛けているような例が本当に多いです。
※何度も言いますがチームの頭の良し悪しは関係ないです。

こんな感じ

もちろん、この間接的な解釈だけでは穴があることはわかっているので、
最終発表ではいろんなファクトを持ってきて「より正しそう」にすることがほとんどです。最も、「より正しそう」と「ここまではほぼ確実に正しい」には天と地の差があるのですが。

チームの進め方として、「最終アウトプットの前段階で行われるチームの方針を決める実質的な決定(超重要)が、仮説と直接的に結びつかない情報と解釈によって決められている」ことは大問題です。


この現象はプロフェッショナルワークでは「命取り」

この現象と似たようなものが、就活ガチ勢の方が大好きな『イシューからはじめよ』でも解説されています。

"「優秀」とか「頭が良い」と言われている人ほど頭だけで考え、一見すれば効率の良い読み物などの二次情報から情報を得たがる傾向が強い。そして、それが命取りになる"
"肝心の仮説を立てる際に「色眼鏡をつけて見た情報」をベースにものを考えることになるからだ"

安宅和人著 『イシューからはじめよ』

二次情報から情報を得て「解釈」して、「なんか正しそう」状態で、課題や提供価値に対する確信がないまま、方針の実質的な決定を行ってしまう。


インターンではロジックがいい感じなら高評価かもしれませんが、成果を強く求められるプロフェッショナルワークでは「命取り」。

そんな事象を防ぐために、何の武器も持たない我々はどう戦えばいいのでしょうか。いよいよこのnoteで整理したかった方法論の話に入ります。





「事象ファースト」のススメ

一次情報にこだわる、二次情報は懐疑的に

一次情報というのは、定義はいろいろあるでしょうが、ここでは、「今その場で起こっていることで、誰の解釈も挟まれていない情報」と捉えます。

既に人の「解釈」が挟まれているものを二次情報といい、報告書や記事のほか、アンケートによる調査もこれに該当すると考えています(「答える」ということと、「考えている」ということは同じではなく、そこに回答者の解釈が挟まる)

物事は「解釈」を挟むと急に現実から離れていきます。
恐縮ながら、また『イシューからはじめよ』から引用させていただくと、

(二次情報は) "何らかの多面的かつ複合的な対象の一つの面を巧妙に引き出したものにすぎない"


二次情報を元に仮説をつくるということは、既に第三者の解釈が挟まった情報を元に、さらに我々で「課題」や「提供価値」の仮説をつくるわけですから、その仮説は限りなく実態から離れていきます。

そうして「仮説」に「仮説」を積み上げ、納得感がなくなっていきます。


そもそも学生チームでは難易度が高い

よい「仮説」をつくるためには、

①現実で起きている事象(1次情報)を集める
②その事象の中から起こっていることを正しく理解する
③最も意義のある切り口から仮説を立てる

ことが必要で、そもそもこれが学生チームで数日間でこなすには難易度が高そうだということが自分の肌感でわかってきました。さらに、この仮説を検証するためにもそれなりの時間と資金が必要になります。


なぜなら、「検証」というのはその仮説に直接的に答える事象を取りにいくのがベストであり、「それらしい二次情報」の寄せ集めでは終わらないからです。そのためには実際にMVPや広告の展開や、本腰を入れたヒアリングが必要になることもあるでしょう。

つまり、

そもそも「仮説検証」というプロセス自体、(自分たちがすぐに一次情報に触れることができないジャンルで)必要十分なレベルを満たすには、学生チームの数日間のインターンでは超ハードモードなのに、
事業づくりや戦略策定に共通する言語で必須スキルのように思われている

ことが、アウトプットの質を下げる一つの原因なのではないかと考えています。

もちろん「仮説」を設定して考えるやり方はメンバーの共通言語として、事業づくりや戦略策定に必要不可欠なのですが、仮説検証という道具のみで戦うのは激ムズな土俵を選んでいないか、ということです。



事象からはじめよ

このハードモードを避けるために、仮説検証の方法論として、もっと手を動かして、現在起こっている強い事象を見つけて、その事象の本質的な部分を客観的に見つけてからでも「仮説」≒お気持ちを設定するのは遅くないんじゃない?という考え方を、「事象ファースト」と呼んでいます。

「事象ファースト」とは、

「『今』起きている事象を、仮説を挟まず純粋に受け入れ、」
「一次情報をもって詳細に現実を把握することで、」
戦略/施策に転用できる本質的な部分を事実ベースで発見する
これらが出来て初めて、戦略/施策の仮説をつくって現在との差分を出す」

考え方です。

何言ってるかわからないと思うので、具体的な思考フローについても紹介します。先ほど紹介した「あるある」の3daysインターンの例と比較しながら、何がどう違うのかを考えて見てほしいです。

事象ファーストの思考フロー

①「今現在伸びている事象を大量に探し、解釈なしにそのまま受け入れる
②「事象の理由を決して探らず、その事象の『強さ』のみ考慮する」
③「その中で、『今の強い事象』かつ、『そこで何が起こっているのか、我々が把握することができる』ものを選定する」
④「世の中のどんな人の間で、いつ、どこでその現象が、どうやって起こっているのか、事象の詳細を一次情報をもって把握する(利用者の声や行動の様子をTikTokやX、Youtubeやヒアリングで取りに行ったり、自分たちでプロダクトを使い込んだり)」
⑤「その事象の中で本質的かつインパクトがある部分を見つける(ここに仮説を挟んではならない、あくまでそれが本質である理由を事実ベースで説明する)≒『イシューの見極め』」
⑥「現在の事象の単純な後追いとならないために、その本質的な部分に直接立脚した戦略/施策の仮説を立案する」



ロジックの核からお気持ちを排除せよ


上記の思考フローの中で最も重要な点は、

新規戦略/施策提案におけるロジックの核が、一次情報から理解を得た事象のもとに立脚している

という点です。

ここでいうとは、新規事業/施策のコアバリューや、既存の成功事例から転用する部分、ユーザーが抱えている真の課題などが該当します。

この核の部分が事象に立脚しているかどうか、ここまでにどれだけ仮説を排除できているかが事業/施策の蓋然性を高めてくれます。


仮説に仮説を重ねるパターン(再掲)
できるだけ事象をとらえに行くパターン




「事象ファースト」を実践しよう

目線を揃えたら、概念的な議論は不要。とにかく最初は手を動かせ!


先ほどの2つの画像を比較すると、「みんなで議論」の部分に取り消し線があるのがわかります。

そうです。「仮説をできるだけ排除する」「泥臭く一次情報を取りに行く」という作業において、素人学生の空中戦的な議論は必要ありません
議論で事象は見つかりません。議論で今起きていることは分かりません。

とにかく、事象をとらえるために、僕らが当事者の一次情報を取りにいけるものを領域として選定して、ユーザーの中で今起こっていることの奥底に潜りに行くために時間をかけましょう。

「インサイト」という言葉も一人歩きしがちですが、ここまでスタンスを切って初めて得られる洞察だと思います。

ここで注意なのは、「何の現象に潜りにいくか」は一定の選別が必要だということです。

とりあえずざっと今起きているもの、伸びているものを調べた上で、
・それが現象として強い(当事者の熱量/切迫度が高く、伸びが強い)か
・僕らが調べられそうか


等の基準から、何を掘りに行くかの意思決定をした方がいいでしょう(もちろん掘りに行くのは1個じゃだめで、5個でも10個でも)

ダメ例:「鉄鋼業界の社長や役員層で起きている事象」
良い例:「Z世代のK-POPオタクの間で起きている事象」
→自分が当事者だと事象への理解がスムーズでベストだが、自分たちがすぐにアクセスできるくらいの範囲であれば良いでしょう。




悪い例で見る

ここで微妙な例を出すと信頼性が薄れるので書きたくないのですが、
ここまでの話を具体例で見て理解を深めてみます。

悪い例
「人材業界の市場規模はIT人材の転職市場を中心に伸長している!(矢野経済のグラフをもとに)」

「IT人材の転職における考慮要素は、『給与・報酬』と『仕事のやりがい・面白さ』が飛び抜けている!」(日経XTechの記事を引用)

「ヒアリングの結果、『仕事のやりがいがなくて早期退職した』人は多いようだ、だから『仕事のやりがいが採用ページ時点で真に伝わっていないこと』が問題である!」(事象なし、お気持ち)

「『仕事のやりがいが伝わらない』理由は、『仕事のやりがいが、評価制度や社内風土、業務に関するコミュニケーション量や雰囲気など複合的な要因によって形成されるのに対して、採用ページでは業務内容の話しかしていないから』だとチームで考えた!」(事象なし、お気持ち。ただの学生がどれだけ考えても、顧客の真の課題を理解できないし、確信が持てるわけがない。)

「だから、求職者に対して、『入社前に仕事のやりがいの有無が実態として把握できる』ことを価値に、『1週間のスポットフリーランス業務委託を受けた後に、転職採用に応募する』新プラットフォームを開発します!競合との差分はここです!ポジショニング!収支計画!ゾス!」

頭が良いみなさんならツッコミどころしかないと思いますが、

実際僕が観測した範囲では、こうした案を3daysでいい感じに二次情報で補強したりツイートをポロポロ拾ってきたりでスライド作れたら良い方だと思います。

しかし、そもそも「転職市場」や「IT人材」を概念的に理解し、彼らの生の動きや感情を事実ベースで理解していないために、コアとなる課題やそれが起きる要因、提供価値が全て仮説ベースになっています。

ロジックを裏付けて「いそう」な根拠もツッコミどころが多くあります。

・IT人材の転職市場が伸びている、これは事実だが、どの規模のプレイヤーが伸長しているかわからないので、初期段階の我々が該当する中小の人材紹介業にチャンスがあるかはわからない。ただリ⚪︎ルートが牛耳っているだけかもしれない。

・アンケートで考慮要素を「やりがい」と回答していることと、求職者が意思決定する際に真に「やりがい」を気にしているかどうかは違う。

・ヒアリング内容は「当事者の振る舞い」ではなく「伝聞」になっているので、そもそも真の要因を語ってくれているかがわからない上に、上記の例では解像度が低く、どの部分がどう作用しているかがわからない。

学生ごときが1分セルフツッコミするだけでもこんなに出るので、もっとボロは出るでしょう。連想ゲームに近しいところがあります。

3段も仮説を挟んでいる上にユーザー理解度もほぼ皆無なので、これが当たる確率は天文学的確率というかゼロです。最終的に出てくるプロダクトを見て「チームでいい感じに議論したけど、うーんこれ使うのかな?笑」と本音では思っている、そんな進め方です。


良い例で見る -それでも新たなモノを生み出すために、「仮説」が最後に必要-


では「新規戦略/施策提案におけるロジックの核が、一次情報から理解を得た事象のもとに立脚している」例を見てみましょう。
めちゃくちゃダサい言い訳をしておくと、以下の「事象」は全て妄想なので参考にしないでください。

よい例(タイムマシンパターン)
「韓国でJINZAIという人材サービスのユーザー数が爆伸びしており、比較的スモールなチームでそれを実現させている」

「JINZAIの利用場面を韓国現地ユーザーのTwitterやTikTok、ネット掲示板で見漁る(注:学生チームでも十分一次情報の収集と事象の理解ができている)と、〇〇というボタンとそれ以降の画面が、XXのようなユーザーに、{ }という場面でヘビーユースされており、%%という形で利用され、( )という形で共有されている様子が事象として現れている」(ここの仮説度はゼロに)

「実際自分たちでサービスを触ったりJINZAIのユーザーに利用場面をヒアリングするとやはり〇〇機能が主な利用シーンであり、この部分がコアなバリューになっている」(ここまで解像度を上げるとコアバリューからかなり仮説が排除されている)

「日本のXXのようなユーザーのTwitterや掲示板、ヒアリングを行うと、韓国と同様に〇〇機能の代わりにわざわざ△△→◻︎◻︎→**といった行動フローを渋々踏んでいる事象が見られ、『この行動フローそのものを省略するJINZAIが韓国で新たに伸びた(日本と同様、すでに大手のエージェントがいたにも関わらず)』という事象から考えれば、日本の人材業界でも〇〇機能をコアなバリューとしたサービスが伸びる可能性は高そう」(既に伸びているサービスのコアバリューで後追いできることも事象に立脚して説明)

「この〇〇機能やエージェントは先行者利益が強く、JINZAIや類似事例でも実際大手が後発しても大きく顧客を奪われることはなかった」(事象)

「したがって日本でも〇〇機能をコアなバリューとしたサービスを作りにいく」(伸びる理由、サービスにおけるコアな提供価値に解釈があまり挟まっていないので、需要への確信ができている状態)

「このサービスは初期投資が大きい/回収がすごい先になるビジネスではなく、スモールなチームから十分始められる」

「さて、日本で起きている「」という現象を鑑みれば、〇〇機能のバリューを『』という形で実装したり(UIやローカライズの話)、( )という初期マーケ施策を打ったりする方が、初期の熱量の高いユーザーに受け入れられやすいのではないか。したがって〇〇機能はそのままに、『』や()を新たに戦略として加えた新事業を提案する」(ただのパクリでは劣化版。ここで初めて仮説が入る)

最初の考え方、探し方、進め方の時点で差が出ているのは見て取れると思います。

もしこれを社会人の皆さんが見ていたら死ぬほど恥ずかしいしアマちゃんが方法論語ってんじゃねーよとなると思いますが、
学生が何もないところから仮説で砂の城を立てるよりも納得感が高いことが伝われば幸いです。

仮説を挟むタイミングも、成功の要因やMVPで実装するバリューといった議論の核からは排除しながらも、
実行ベースでは独自の仮説を打ち出して、現地適合の戦略をとり、競合に勝てる可能性を高めています(ここら辺の仮説の筋の良さはセンスというか経験なんやろなあとか思ってます)

仮説度をただ下げればいいというわけではなく、優位がある/持続可能である事業案に落とし込むためには(実装・マーケにおいては特に)仮説が不可欠なことは十分留意してほしいです(自分はこれができず爆死した)

チョコザップのチラシやLPの検証は正確には違うけど似てる事例かなとか思ってたりします
(低価格+NOTジムガチ勢向けは不変にして、訴求ポイントや訴求の仕方を変えて最適化した)

今回の場合、取り上げた事象は既に伸びているプロダクトだったので、「需要があること」と「nice to haveにならず プロダクトとして伸びること」の結び付けはある程度確信ができますが、

「〇〇という行動が伸びていて熱量が高いのでこれをプロダクトに落とす」みたいな考え方だと、nice to haveでないかどうかはもっと検証が必要になるでしょう。


おわりに

いち学生なりに、今までのインターンの学びを書いたら10,000字になってしまいました。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

改めてこのnoteに起こすにおいて『イシューからはじめよ』や『仮説思考』を読んだら、マジで全部書いてありました

以前自分が線を引いていたところとは全く別のところで「あーこれはそういうことなのか」と腑落ちすることも多かったので、サマーインターンがひと段落したこの機会に好きな本を再読するのが良いのではないでしょうか。

さて、このnoteを書いたのはめちゃくちゃ小規模な鍵垢就活アカウントです。ここまで書いたのに誰も見てくれないと悲しいので、ぜひリンクで共有してくださると幸いです

(もし気になればアカウント (@Workinonit_25) にフォロリクください)

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