風邪ひきのエビフライ。
先日、実家近くをドライブしていると、
子供の頃に何度も行った病院をみた。
インフルエンザになったり、風邪を引いたらよく訪れていた場所。
この病院の目の前には、コンビニあって、思わず懐かしい気持ちになった。
風邪をひいてぐったりしている時、
お父さんはいつも「好きなもの買ってやるから、何食べたいか教えて」と深刻そうな顔で聞いてきた。
その顔があまりにもシリアスなので、なんでだろうと思ったけれども、
子供が風邪を引くことは、自分が病気になるよりも心配なのだと、最近やっとわかった。
お父さんへの質問の答えは、大体「ハーゲンダッツのアイスクリーム」なのだけれど、ある日ダメだろうと思いながらも、「エビフライ」をお願いした。
すると、大慌てで、父親はコンビニの冷凍食品コーナーに行って、冷凍エビフライを買って、家まで車で戻ってくれた。
家に着くとすぐに、お鍋に油を用意して、すぐにエビフライを揚げて、
梅干しが入ったおかゆと一緒に出してくれた。
風邪ひきには、変な組み合わせで、(もちろんカラダにはよくないであろう)、食べていいのかわからなかったけど、とにかく食べた。
ソースがなかったので、醤油をかけた、揚げたてのエビフライは、とクリスピーで、すぐに完食してしまった。
お父さんに、ありがとうを伝えると、とても嬉しそうにしていたことを今でも思い出す。
誰かが弱っている時、その人が大切な人であればあるほど、何かできることを、できるだけやってあげたいと思う。
それは、家族に対しても、友人に対しても、会社の同僚に対しても同じこと。
ずっと、なんで自分はそんな気持ちになるのか、不思議に思っていた。
地元の病院のそばを通った時に、
風邪ひきのエビフライが、1つの原体験なのだと思った。
あの秋の日に、お父さんが必死になって、ぐったりして何もできない子供もために、出来る限りのことをしたいと思い、一生懸命エビフライをあげてくれたこと。
気づかなかったけれど、その姿勢が、自分の心の底に染み込んでいたのだ。(もちろん、他にもたくさんの気づかない経験から、今の自分は形成されていると思うのですが)
日々は、予定通りに進まない。思い通りにはなかなかいかない。
自分と周りの環境がいつどのように影響を与えるなんて、そんなことはわからない。
だからこそ、毎日の行動について、少しでもいいから、考えてみたい。
たった1つの言葉や行動で、誰かの人生が大きく変わってしまう可能性があるのだから。