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すきだったこと、今でもすきですか?(「あしたから出版社」を読んで。)
すきだったこと、いまでもすきですか?
親しい友人から、本をいただいた。
人が良いと思ったもの、信頼できる友人から受け取る本は、読む前からワクワクする。
「あしたから出版社」も、そんな本だった。
著者の島田さんは、従兄の死をきっかけに、人生について考え、最終的に出版社をやろうと思い立つ。それも、誰も雇わない1人での起業だ。
島田さんは、本を愛している。
和田誠さんが表紙だと思えば、ありったけの気持ちを綴り、企画を実現させる。廃盤になった書籍を諦めず、出版にこぎつける。
決して、世の中からみたらスマートな生き方ではないけれど、愚直に譲れない大切なものを持って、生きる姿勢には本当に共感する。
この本の中で印象的だったのは、「面白くなくなる」「つまらなくなる」ということについてだった。
音楽がつまらなくなったという人たちは、音楽をもう聴いていない人たちなのである。
その意味で、本が読まれなくなったという人たちは、もう本を読んでいない人たちなのであり、本屋さんが面白くなくなった、本屋さんが危機だ、と話す人は、もう本屋さんに行かなくなった人たちなのである。
ひとは、自分ごとではなくなると、あっという間に批評家になれる。
遠い国の戦争や、ご飯が食べられない人たちのことを、いかにも知識人のフリして、偉そうなコメントをする。
けれども、会社での嫌な仕事については、何よりも深刻な顔をして話す。
何が言いたいかというと、すきなこことを、すきでいるためには、すきなことに寄り添う忍耐強さが必要だということ。
愛着がなくなってしまったら、好きなこととの関係は終わってしまう。
社会人になったら、時間の流れが加速度的に速くなったりする。
好きだと思っていたことに時間を使わず、スマホのゲームとか、よくわからない、行き先のないネットサーフィンをしたりする。
本当に好きだったら、なによりもそのことを、自分の生活の一部として捉えている。
島田さんのこの文章を読んだ時、思ったのだ。
「すきなこと」こそ、「自分ごと」にしよう。
大好きな音楽や本と寄り添って生きてゆこう。