重い腰を持ち上げて
先日87歳になる祖母とドライブに出かけた。
昔は早歩きで有名だった祖母も、今は杖をついて歩くようになった。
高齢者向けのスポーツ施設に通っていたが、気持ちがついていかず、最近は家の中で1日を過ごすことが多くなっている。
人間って、ほんとうにすごいことは、やってみないとわからない。だから、もっと自由に歩きたいという祖母を連れて、とある公園を訪れた。
そこでゆっくりでもいいから、散歩しようと言うと、「私に歩けるかしら」という祖母の手を握り、公園の中に入っていた。
散歩を始めたら、祖母は公園の中をずんずん歩き進めていた。気付いていたら、1時間は経っていたと思う。
「自然の中で歩くって、気持ちいね。森林浴だね。意外と歩けるんで、じぶんが一番驚いているわ。」
満面の笑顔でニコニコしながら、そう語る祖母を見て、やっぱりやってみないとわからないことがたくさんあると思った。
もちろん無理はさせてはいけないけれども、本人ができる範囲で、好きなだけやりたいことをやってもらう。これほど、幸福につながることはないと思った。
周りの人が、高齢だからといって、あれもこれもダメだと話したら、本当はできることまで出来なくなってしまう。結局ひとは、考え方次第で、随分変わっていくのだと思った。