ボロボロになっても、いつも何度でも。
本屋さんで新刊を探していたら、百田尚樹さんの『成功は時間が10割』が目に入りました。
タイトルだけ見ると、「いわゆるノウハウ本かな?」と思いました。
ところが立ち読みしてびっくり。その場で買うことに決めました。
スマホの中で無限大な時間を過ごせる昨今。
この本は時間について改めて考えるきっかけを与えてくれました。
「物理的な長生き」は、「充実した長生き」ではない
この本の中で、一番胸に響いた言葉です。
将来のことを考えた時に、十分なお金があって、80歳くらいまで生きられれば良い人生。
ぼんやりとそんなことを想像しながら生きてきました。
百田さんは、「物理的な長生きは、長生きではない」と主張します。
どう言うことでしょうか?
それは、「ただ単純に、100歳までなんとなく生きても、それは充実的な人生ではない」と言うことです。
ブルシットじゃない、仕事。
それでは、どのように生きることが、充実した人生になるのでしょうか?
本書中で、百田さんは、達成感が重要であると述べています。
つまり、達成感のある出来事、印象的な思い出を積み重ねることが、充実した人生を歩むために重要であると言うことです。
昨年『ブルシットジョブ』と言う本がベストセラーになりました。
まさに上記主張と逆の仕事と言えるでしょう。
事実、この本で糞食らえな仕事をしている人たちは、たとえ給料が高いとしても、自らの人生を幸福だとは思っていないのです。
宮崎駿のイメージボードのように
この話を聞いた時に、スタジオジブリの宮崎駿さんの映画作りを思い出しました。その話とは、イメージボードにまつわるものです。
宮崎さんは、映画を作る際に、映画の核となるシーンをイメージボードとして描きます。
つまり、物語が起承転結で成り立つように作るのではなく、まずは、印象的なシーンを描き始めるのです。
そこには、初めから起承転結はありません。
不思議なことに結果的に、イメージボードに描かれたシーンをベースにして、映画は作られます。
つまり、印象的なシーンが映画を作り出すのです。
いつも何度でも(何歳になっても、良い思い出作りを続けること)
これは人生を充実に生きる、百田さんの主張と似ていると思いました。
なんとなく100歳まで生きて、なんとなく病気になって死んだとしたら、自分の人生を肯定することは容易ではありません。
ところが、いくつになっても、人生の中で印象的なイベントを自ら作り出し、良い思い出にすることができれば、過去の出来事は肯定的な存在となります。
宮崎駿さんと百田さんの考えていることには、そういった意味で共通点があると思うのです。
そんなことを考えていたら、山本有三さんの言葉を思い出しました。
今日も明日も明後日も、いろいろやって、その感情を味わいながら生きてゆきたいものです。