【短歌】呼び名なき或る日たち3
缶ビールと蛙、猫と空白それから宙の壁
久しく蛙の声を聞きたらぬ 都会にありてさうざうしきに
我が内に僅かなる空白ありき 嵩ますにつれ存在を持つ
立ち上る鉄床雲に白、一閃 しかと聞こえし宙の叫び
窓辺に現る小さき黒 その双眸に星の光宿して
缶ビールたったのひとつ飲み干して 世界すべてが壁になりけり
雑感
いつもはほとんど日常で使っているようなことば、口語のみで短歌を詠んでいますが、少し硬めのことば使いだったり、文語の使用に挑戦してみたものを集めました。
ほとんど学校教育を受けず、それを拒否をしてきたわたしは古文にとんと触れてこなかったのですが、短歌を詠み始めてこの古語、あるいは文語というものに興味を持ちはじめました。
同じ意味でもまったく違ったことばや響きになっていて、かなりリズムや印象に変化をもたらしてくれそうと感じ、これは学ぶべきだと思いました。
時代とともに変化していくことば。これはなんとも楽しい。
そして新旧問わずそれを用いて今の感情を表現するということ。しかも三十一文字で。
これはやばいくらい楽しい。そして難しくて苦しい。それが嬉しい。