怖い話じゃなくてよかった(読書記録)
「世界でいちばん透き通った物語」を読みました。
本屋で平積みになっているを見かけ、
そういえば話題になっているなぁ、と手に取りました。
僕が住んでいる町には本屋があり、それなりの規模で、
品ぞろえもそんなに悪くない感じで。
そんなわけでやおら読み始めました。
ネタバレ厳禁なので以下、内容に踏み込んで書きます。
面白いか面白くないかで言えばこれは面白かったです。
何が面白かったかはうまく言えない。
以下、内容に触れます。
10章あたりで、読んでいてなんだか違和感があるなと思いました。
フィクションであるにも関わらず、小説家として京極夏彦氏が出てきたところでピンときました。
何かのうんちくで、京極夏彦氏は絶対にページをまたがないように小説を執筆しているということを聞いたことがありました。
確認してみると確かに、ページを跨いでいなかった。
それどころか、文字の配列が右ページと、左ページが鏡合わせになっており、それがすべてのページで同一である。
たしかにこれは電子書籍では作ることができない。
くどいくらいに電子書籍と紙の書籍との比較について本文中で言及があるのもヒントではあった。
その仕掛けには気づいたけれども、小説の中身と関係するかどうか、ということに注意しながら読み進めていく。
書くのすごい大変だったんだろうなぁ。
ある種の小説内小説というメタ構造になっていた。
霧子さんが犯人じゃなくて良かった。
僕はネタバレ禁止と言われると、なぜか怖い話なのではないかと身構えてしまう特性がある。このときもそういう疑念と戦っていた。
ネタバレがあるという不確定な状況に対処する際に、脳のリソースが割かれることによって、不安感が増してくるのかな。
それから最後の仕掛けは、ちょっとやりすぎではないかと思った。
言及されているこの小説もそのうち読もうと思いました。