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【社長インタビュー②】介護予防の枠組み作りに加わり「宮崎県の持続可能性を向上させる」

※社長インタビュー前半はコチラから

「何かしよう」に「これじゃいけない」が加わり一念発起


ー7年前の未来図Labo創業時のお話をお聞かせください。

金子:当時同じ病院に勤務していた丸中(現・加納店管理者)、清水(現・東大宮店管理者)と私の3人で、設立に向けて動いていました。立ち上げ当初は私一人で諸々準備に奔走し、4〜5ヶ月後に合流して本格的にスタートしました。

ー病院時代に働きながら課題感を共有していたメンバー、ということですか?

金子:当時私は現場を離れ管理する立場だったので、丸中(加納店)や清水(東大宮店)とは、セラピストとして接する機会は限られていました。ゼロから起業するにあたって、勢いと熱量をもって一緒にやってくれそうな人に私が声をかけ、集まってくれたのが彼らです。昼ごはんを食べることも忘れて、奔走していた時代は忘れることが出来ませんね。

加納店管理者:丸中
東大宮店管理者:清水

ー金子さんとつながりのある方たちが徐々にメンバーに加わっていったのですか?

金子:はじめは、病院時代の仲間など、一緒に働きたいと言って入社してくれる人が大半でした。店舗が増え、メンバーが増えると、自分たちの思いや熱量とはまた違った思いの人も入ってきます。勢いだけではなく、論理的に考え社内をまとめてくれる人間も必要になってきました。そういう意味では、東大宮店管理者の宮本は、コーチングの資格も持っており、新たな視点を持ち込んでくれました。現在は、その3人が絶妙なバランスで会社を支えてくれています。

神宮店管理者:宮本

ー組織のマネジメントも必要な規模になってきたのですね。
そもそも金子さんは「起業」することに対してどういう思いがあったのですか?

金子:33歳から実際に商工会議所の起業セミナーに通い続けて、5年ほどの準備期間の後38歳で起業しました。

実は私の父は経営者でした。病気で止む無く職を辞し、東京から宮崎に帰ってきました。なので、子どもの頃の私が見ていたのは病気がちな「かっこわるい」父の姿でした。でもある時、100人以上の社員を社員旅行に連れていった時の写真を見たことがありました。それは自分の知っている父ではなく、「かっこいい」父でした。ぼんやりですが、自分で会社をしてみたいと思ったきっかけだったと思います。作業療法士の国家資格を取得した当時から、40歳までには「何かしよう」とは思っていました。

ーお父さんの影響もあったのですね。そこから、起業へのスイッチが入ったきっかけは何かあったのでしょうか?

金子:はじめに(インタビュー①)お話しした、病院勤務時代に感じた違和感ですね。「何かしよう」「これじゃいけない」が加わって、本格的に起業に向けて動き出しました。

加納店でのリハビリの様子

福祉の仕組みに働きかけ、社会にスピーディーな変化を起こす


ー未来図Laboでは、会社のビジョンをどのように描いていますか?

金子:それは「宮崎県の持続可能性を向上させる」ことです。
介護が必要な人が増えると、当たり前ですが自治体からの支出が増えてしまいます。逆に高齢者の自立度が高まり、生き生きとした生活を送ることが出来れば、自治体からの支出は減り、新たな介護予防サービスに投資することが可能になります。そういった好循環を作ることで、宮崎県の未来に貢献できると考えています。このミッションについては、いつも各店舗の管理者とも協議して、プロジェクトを進めています。

指導中の金子社長。自治体と連携して地域住民の健康意識に働きかける

ーデイサービス運営だけでなく、自治体への働きかけが進んでいるようですね。

金子:私たちは『自治体と協力した介護予防サービス』がもう一つの軸となっています。個々人に働きかけるサービスも大切ですが、介護予防の枠組み作りに関与することで、よりスピーディーに変化をもたらせられるのではないかと思っています。現在、宮崎市、日向市、綾町、新富町、三股町から業務の委託を受け、地域の特徴に合わせたサービスにアレンジして提供しています。そして、現在もご相談いただいている自治体は増えております。

ーこれは会社設立当初から想定していたことですか?

金子:自治体参入での事業展開は、初めから考えていました。走りながら少しずつ、明確になってきた感じです。

ーいわゆる「未来図」がそこにあったのですね。金子さんたちはどうやってその「未来図」を描いたのでしょうか?

金子:厚生労働省などから出されている資料を見てみると、超高齢人口減少社会の眼をそむけたくなるようなデータをすぐに見つけることができます。私たちはこれから眼をそらさずに、危機感を持って本気で取り組むことを実践してきました。なので、私たちはとりわけ創造的なことをやっているわけではありません。とにかく超高齢人口減少社会を迎えるためのより良い準備を愚直に進めているだけだと思っています。自分たちが高齢者になった時に、起こりうる不都合の中に、未来図を見つけたという感じでしょうか。

ー県内では他に同じような事業に振り切る企業はないのですか?

金子:私たちが知る限り宮崎県においては同じような事業に取り組んでいる企業はありません。ただ、我々のように介護予防事業を通じて、地域の持続可能性を高めるという事業に取り組む企業の参入は必要だと思っています。

データ活用で介護業界にイノベーションを

ーこれからの日本の福祉はどうなると考えていますか?

金子:状況が悪くなっていくことは間違いありません。覚悟して、自覚して備える。そんな時代に突入しています。10年後、15年後には、「昔は誰でも介護を受けられたのにね、あの頃はまだ良かった」と振り返っているかもしれません。

ー誰にとっても、もはや人事ではない状況にまで来ているのですね。

金子:自分が自分らしく生きられるようにまずは自分自身をマネジメントしていこうという風土をつくっていかないといけませんね。
これは決して高齢者だけに限らず、若い世代にも今から伝えていきたいと思っています。

ー最後に、これからさらに注力していきたいことを教えてください。

金子:それはICTですね。今、未来図では、介護予防に関するデータをチャットボットで収集し、そのデータを見える化するアプリを作っています。スマートに自治体の介護予防の今を把握することができるシステムだと思っています。現在、いくつかの自治体と導入に向けて準備中です。
データで介護予防を変えていきたいですね。


未来図Labo 代表取締役 金子茂稔(かねこ しげとし)
平成6年3月県立宮崎南高校卒業
平成10年3月国立療養所福岡東病院付属リハビリテーション学院卒業
【職歴】平成10年4月  宮崎江南病院 勤務
【資格】 平成10年4月作業療法士免許取得、平成16年11月介護支援専門員資格取得
【役割】一般社団法人宮崎県作業療法士会副会長、宮崎東諸県在宅医療介護地域協議会委員

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