【毎週ショートショートnote】立方体の思い出
「はじめまして、円山立です」
小6の頃、クラスに立方体が転校してきた。
頭が立方体の男子だ。
「変なの」
ひそひそ話の一言に、立はすぐ反応した。
「変ですか、僕?そうこれ辺なんです」
教室中が大爆笑。
「面くらいますよね。あ、これが面です」
爆笑、再び。
その対応のプロのようだ。
「じゃあ、立くんは直くんの隣ね」
「よろしくね」
無表情な立の顔からは、その気持ちを読みとることはできない。
本当は、あんな冗談を言いたくなかったはずだ。
「ねぇ、立くん」
「なんだい?直くん」
「立方体なのに円山って、クールだね」
「てめぇ、角で頭突きすんぞ」
気がつけば、立とは親友になっていた。
一年後、立はまた転校し、それっきり。
「その立方体の中って何があるの?」
「見取図どおりさ」
「嘘だ」
「何が入ってるかは展開してのお楽しみさ。人生と一緒だよ」
当時は意味不明だったが、今になって少しわかる気がする。
(400字)
今週も参加させていただきました!いつもありがとうございます!
今回のお題は、シンプルに立方体で物語を書くか、それとも、立方体である「何か」から発想するか、で迷いましたが、「思い出」というワードから「友達」「学校」と繋がり、最終的に立方体の転校生という物語に着地しました。
どうか楽しんで読んでいただけますように!
10月末までnoteで行われていたクリエイターフェスも終わり、期間内にどうしても記事にしたかった400字の物語LIVEも、じわじわと様々な方に読んでいただけていて本当に嬉しいです。ありがとうございます!
また、9月末締切だった坊っちゃん文学賞への応募を終え、書いたエッセイが自分が思っていた以上の方に読んでいただき、感想までいただけて、本当にありがとうございます。
最近はといえば、色々な本屋さんに伺ったり、本を買ったり、人と話したりと、インドア人間にしては活動範囲が広がった気がします。
noteで毎週ショートショートnoteだったり、創作以外の記事などを書けたことで、少しだけ自分の穴からぬっと出てきているのかもしれません。
自分にとってはこれは良い変化だなと思っています。
まだまだ、たどたどしいところもありますが、
楽しいことばを届けられるように、今やれることを、長い目でやっていこうと思っています。
また、よろしくお願いします!
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