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ワンダリング・ノート -PIXEL-最終話

ローザ:・・・この男、本当にトムなのか? 「時空を超える」存在なんて、私には邪魔でしかないわ。

トム:レナ・・・いや、ルナをどこへやったんだ? そしてお前は誰だ!?


ローザ:ふ〜、質問が多すぎて面倒だわ。それじゃあ私の姿を見て、判断してくれるかしら?


トム:こ、これは・・・ローザの身体に「ルナとレナ」二人の姿も一緒に重なって見える??

ローザ:この娘たちは、あなたが勝手に創り出したんでしょう? 大人しくこちら側に来れば、全ての謎が解けると思うけど?

トム:お前の声とその口調・・・ルナ・テノールにそっくりだ。君は・・・もしかして・・・??

ローザ:知りたいの? じゃあ、こっちへ来て・・・トム。


トム:本当の僕は・・・一体誰なんだ・・・??


ローザ:フフ・・・そうよ、シャドー・・・それがあなたなのよ。思い出してくれたようね? さあ、一緒に戻りましょう。私たちの「帰るべき場所」へ・・・。


***


エマ・テナー:Mixx-404-xx──ルナ・トーランスとのリンク完了。シャドー・トムと、トムさん自身の分離を試みるチャンスですね。


エマ・テナー:さあ、どうしましょう。今の私の能力を使い切ってでも、トムさんの可能性に賭けるべきでしょうか? それとも・・・。

ダン:なるほど・・・そうか。エマよ、それが貴様の狙いだったか。


ダン:ローザによって、あの小僧と「影」を分離させる・・・その「影」とは、この俺の追い求めていた存在「時空を超えた者」のことだ。機を伺い、俺の手の届かぬように仕向けたな?

エマ・テナー:あなたの手に渡るよりは、後々面倒ですがローザさんに連れて行ってもらえればと思いました。さあどうします? あなたの野望を満たす「金色の斧」を諦めて、ローザさんとトムさんを追いかけますか?

ダン:諦めるだと? ふん・・・どちらも手に入れる。「斧」の所在を聞き出す為にあの小僧を追っていたが、どうやら順序が間違っていた。


ダン:エマよ・・・ここでお前を仕留めるのが先だ!!


『パラレル・ミラー』





ダン:あちこちに無駄なリンクを貼って、貴様の「本来のパワー」が思うように出せないだろう? この俺と対峙しておきながら、あの小僧の様子を見ている余裕などないとわかっていたはずだ。

エマ・テナー:・・・。

ダン:鏡を統べる者が、鏡に囚われるとは・・・皮肉なものだな? さて、ついでに貴様の力を借りて、この空間の範囲を広げるとするか。



──ダンは指を弾いた──



ダン:これで、こいつらの動きも我が「鏡」で封じた。だがしかし、エマよ・・・お前をこのまま彼方へ消し飛ばしてしまうと、この俺の膨大な力が維持できなくなるな。

エマ・テナー:・・・な。

ダン:ん? 何だ、喋れるのか?

エマ・テナー:欲する鷹は爪落とす、みたいな?

ダン:・・・何だと? ウッ・・・!?


トム:ペダルを・・・漕ぐんだ・・・。僕は、負けないぞ・・・!!

ダン:小僧っ!! ・・・何だこのエネルギーは?? この俺の力の放出が制御できんっ!!

トム:前に・・・前に漕いで・・・未来へ進むんだ・・・。

ダン:これは・・・時空が加速しているのか!? 俺の能力もこのまま発動し続けると、パワーが・・・尽きるっ!!


ダン:しまった!! 能力の効果が・・・!!

ローザ:・・・ダン!? 気付かれたか? だがもう遅い、シャドーは私と共にあるわ。あなたが生成したこの「影のトム」は、私のものよ。

ダン:・・・お前の好きなようにはさせんぞ!! ローザッ!!

ローザ:あなたとは気が合わないけれど、彼を生み出してくれたことには感謝しているわ。それじゃあね!


──Ignis Tenebrarum──



ダン:くっ・・・おのれ、ローザ・・・!!

エマ・テナー:ダン、あなたは私と一緒に行きましょう? 私も「彼方の世界」を見てみたかったので。

ダン:貴様らっ!! どこまでも俺の邪魔を・・・離せっ!! くそっ・・・力が入らんっ!!

エマ・テナー:それでは、トム「坊や」さん。またお会いしましょう! 私のこと、忘れないでくださいね?


トム:消えて・・・みんな・・・消えていく・・・??

ダン:小僧・・・お前の「妙な能力」のおかげで、俺の計画は全て狂ってしまった。覚えておけ・・・次はない。



・・・え、ねえってば!! 聞いてる?

トム:う、う〜ん・・・え?


トム:あれ!? ここは・・・あれっ??

レナ:あれ? じゃないわよ。私の話、聞いてた?

トム:え?? え〜と・・・君は、レナ?

レナ:私の記憶が戻ったのが、まだ信じられないの? 永霊鏡のひび割れも治ったことだし、あとは「釜お婆さん」を本から出してあげないとだよ?

トム:鏡が治った・・・本から出す??

レナ:も〜、しっかりしてよ! トム、大丈夫??


釜婆:トム、お主・・・混乱しておるな。意識がどこかへ飛んでいたようじゃな? 

トム:あれ? お婆さん・・・あの、ゲームの世界は??

釜婆:何じゃそれは? テレビゲームの夢でも見ておったのか? 

トム:夢?? どこから夢で、どこまでが夢なんだ??

釜婆:第3章が終わったばかりじゃて。ほれ?

トム:え? いや・・・そうだったっけ?

釜婆:じゃが・・・お主にとっては重要なイベントをこなしたようじゃな。夢であって、夢ではない。それはお前さんの「想像の世界」での出来事じゃよ。

トム:・・・そうかもしれない。そして、もうあまり時間に余裕がないかも。僕らは追われている。あの「ダン」という男に・・・!

釜婆:そうじゃな。奴はこの「鏡の世界」を憎んでおる。そしてその鍵を握るお主を、決して逃しはせんじゃろう。

トム:僕が「鍵を握る」って? 握るって言えば、公園のあのお店でおにぎりを握っていたのは・・・。

レナ:私、お腹空いてきちゃった! ちょっと休憩しない?

トム:あ、ああ・・・そうだね。

釜婆:やれやれ・・・そういえば、空気キャラのライスはどこへ行ったんじゃ?


ライス:さて・・・店を畳んで、俺も戻るとするか。

第4章〜完


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