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韓国産ほのぼの絵本『にんじん ようちえん』

いつもnoteを拝見している方がだいぶ前に紹介されていた韓国の絵本がとっても可愛らしそう&面白そうで気になっていたので、先日日本語版を読んでみました。

『にんじん ようちえん(당근 유치원)』- さく:  アンニョン・タル(안녕달)さん、やく: ひこ・田中さん

その方の感想にもあった通り、何ともほんわかして可愛らしい絵とお話でした!にんじん幼稚園に転園してきたウサギの子が、担任の先生(クマ)に淡い恋心を抱くお話です。

この絵本、大半は主人公の視点で進んでいくお話なんですが、いわゆる地の文が少なくて、先生、子どもたち、保護者たちの会話が直に吹き出しもなく書き込まれています。そこかしこのちょっとしたセリフにクスクスしたり、全く本筋とは関係ないのだけど園長先生(リス)の神出鬼没っぷりを探したり。

メインストーリーと関係ないところをじっくり楽しめるのも、絵本の醍醐味ですね。

ストーリーもずっと微笑ましいのだけど、ラストもほんわか。その後の展開も限定的にされず色々想像できるし、とてもあったかい気持ちになるお話でした。

さて、可愛い園児たちの中に、印象的な子がいました。1人だけ、ゴリゴリの関西弁なのです。水玉パンツの子。主人公とたくさん絡むとかでもなく、脇役というか普通の園児。そこで私は閃きました。韓国語にも地域によって方言があるはずだから、これはきっとそれが表現されているんじゃ?と。

絵本だし原文もいつか読んでみたいな、と思っていたところ。韓国から友人が来る時、荷物を増やして申し訳ないと思いつつお願いしてみたら、韓国語版を買ってきてくれました(超感謝!あ、お代はちゃんと払ってます!)。

韓国語ではセミの鳴き声がミンミンじゃなくてメンメン(맴맴)なんだな〜、とか。日本語と韓国語のセリフを交互に読んで子どもたちと大笑いしたりとか。音がわかるだけでも、おかげさまで十分楽しめました。

でもでもでも。私のレベルでは、ハングルを読んで方言かどうかなんて、全く見当も付きません。そこで、韓国語ネイティブの友人たちに例の子のセリフ原文を読んでもらい、真相を教えてもらえることに!ワクワク!

結果。

「えっと、何も他の子と違わないねえ。」「うーん。。全然訛ってないよ。」
私「なっ。。。」

登場人物全員、全くもって標準語…だと…?

じゃあ、じゃあ、一体どうしてこの子だけこんな書き分けを!?ほ、翻訳者さん!?
そこで慌てて訳者さんのプロフィールを読み直してみたら。。。

ひこ・田中
1953年、大阪府生まれ。児童文学作家、評論家。

作者プロフィールより

…えっ!!まさか。そ…それだけ…!?全編標準語のキャラクターたちの中に、意図的に大阪の存在感を組み込みたかったの…?これは遊び心のなせる技、なのか…?翻訳って、こんな自由なこともあり得るのね…??

まさかの真相に拍子抜けした私でしたが(苦笑)、絵本自体は面白かったです。水玉大阪弁ウサギちゃんも良い味出してたし。

ちなみに。note記事で紹介されていた「にんじんソング」とはまた別の場面で園児たちが体操しながら熱唱していた歌は、これも有名な童謡で、真似っこを楽しむ歌だそうです。

絵本って、こうして気軽に異文化に触れられるのも楽しいな〜!

疲れた大人(私だ)にも、たまには絵本をパラパラめくってみるのはおすすめです。何歳になって読んでも、面白さや癒しだけでなく、奥深さを感じたりもしますよね。

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