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「教養する」ための『教養としての教養』
タイトルに3回も入れ込んでみた「教養」という言葉。「教養のある人」とか「大学の一般教養科目」とか、ワードとしての使い方は分かっているのだけど、私にとっては、果たしてそれ自体の意味は?と訊かれると、うむむむ??となる言葉です。
教養って何だろう。私の思いつくイメージを勝手に記してみよう。通り一遍の一般常識を超えて、多種多様な分野の繋がりや歴史を深く理解していること?どんな相手のどんな話題でも、マニアックな知識と共に付いて行けることかな?…もしこのイメージが正しければ、教養とはつまり…タモリさんなのか?そうなのか!?
一体全体、何をもってすれば、「あの人は教養がある」となるんだろうか。語学の検定試験みたいに「教養検定試験」なんてものがあって、その1級でも取れば認められるんだろうか。
『教養としての教養』- 著者: 角田陽一郎さん
これも、noteを使っていなかったらきっと気付くことも手に取ることもなかったかも知れない本です。レビューがとても面白かったので読んでみました。いざ、リングイン!
教養はプロセスだ
本書冒頭でいきなりこれまでの認識が覆されたことが、これでした。
もともと教養は「教養する」という動詞で、〈結果〉ではなく〈プロセス〉であるとのことです。
今でこそ名詞としての「教養」が幅を利かせていて、さっき私がイメージしたような、深い知識や情報を得た状態そのものに最大限の価値があるように思えていたけれど。
そうではなくて、日頃からいかにしてその思考や知識を育んでいくか、という行為そのもののことなんだそう。
つまりきっと、タモリさんを目指すことが教養の目的なのではなく、日頃から自分が何を知り何を捉えどう生かすかというプロセスそのものが、「教養する」の本態なんだろう。
自分が得た教養をもって自分を、世界をどう教養するか?といったスタンスが大切なよう。結果的に、タモリさんが出来上がったとしても笑。(それはそれで大成功では?)
即ち、教養するための教養についてまずは広く、そこそこ深く考えてみよう!というコンセプトの本でした。むむ。これは速読せずにゆっくり読まねば。(安心してください、わたし速読できません)
感情のマクロ視点
この本、教養するための教養を考えるにおいて、歴史、地理、社会、エンターテインメント、文化、人生、の6つのカテゴリーをそれぞれ章立ててまとめてありました。
詳細が気になる方は各章を読んでいただくとして。私が今回個人的におっ、と思ったのは、最近読んだ本とのシンクロでした。
先日記事にもしてみた『感情は、すぐに脳をジャックする』は、感情をないがしろにせず解像度を上げて向き合う大切さが語られていた本でしたが、こちらはどちらかというと自分の内面に向かったり、直接コミュニケーションを取れるような比較的近しい相手を想定した考察が主でした。(もちろんそれも超大切!)
今回の本では、「第2章 教養としての地理」のうち「2-3 ナショナリズムとは何か?」の小見出しに、「感情の戦争」という項目があり、おおっと思いました。
個々人の日常で嫌なことは当然あるけれど、そんな嫌なことが国家レベルで起こると戦争が起こると。そうならないためには、感情を論理的に考えることだと。
…きた!つまり、前の本であった「感情の解像度を上げる」ということでしょう。個々人の感情の行き違いだとたかを括っていると、エスカレートすればいつの間にか国家間の戦争になってしまうかも知れない。。。
どんなもめごとが起こっても、どう戦争を起こさないか?それを考えるのが教養です。
いやはや、めちゃくちゃ大切じゃないの、「教養する」こと。結局、国だの政府だのだって、個人の集合体なわけでしょう?ということは、個々人が持ってる感情の解像度が荒いテンプレでしか認識できなくなってしまえば、その民衆から選ばれた指導者同士だって、自身の感情すらちゃんと認識できないかも知れない。そうしたら、ましてや相手の(国や個々人の)感情になんてもっと思考が及ばなくなってしまうよね。
自分の思考にとことん向き合うミクロ視点の話から、国際問題のようなマクロ視点の概念にまで繋がっていた。それが、「感情をないがしろにしない」重要さを学ぶひとつの要点なのかも知れない。
こんな感じで考えていくことで、もしかしたら私も少しは「教養する」が出来てるかしら?そうだといいな。
「どう考えて、どう生きるか」
教養するということ、教養を付けるということの最大目的は、これなんだと。そのためのヒントだったり入門だったりを、一緒に考えてみようぜ!っていうスタンスの本ですね。勉強になりやす!
しかしこんな見出しを付けると、早くアレが観たくなります。ジブリの最新作のアレ。『君たちはどう生きるか』。むかーしたまたま文庫で原著を読んでおお、これは良い本と思った記憶はあるのだけど、昔すぎて詳細は全て忘れたという(あぁ、脳内がオーバーザ・サン)。
誰かにうっかりネタバレされてしまう前に、観なければ…!