『Wonder』をジャケ買いしてみた話
本屋さんに行く時は、予め気になっている本をピンポイントで買うこともあるけれど、私の場合、何も決めずにぷらっと立ち寄ることの方が多い気がします。そんな時は、一通り様々なジャンルの棚をぐるっと歩いてみるのが好きです。
これは、洋書コーナーを散歩してみた時のこと。たくさんの平積みペーパーバックの中に、この鮮やかな水色と、物憂げそうにも凛としているようにも見える不思議な顔の表紙を見て、どんな話なのかなぜか妙に気になってしまい。
どうやら児童書エリアのようだし、それなら英語の勉強がてら読みやすいかも。ということで、ろくにあらすじも読まずに買ってみました。
後から知りましたがどうやら。。。世界的ベストセラーでした!やはり、本も映画も、好きだけどまあ詳しくない笑。
『Wonder(ワンダー)』- 著者:R.J. Palacio(R.J. パラシオ)さん
魅力的な登場人物たち、それぞれの視点
この本の構成の上手さを、予備知識がなかったからこそさらに驚きと共に楽しむことができました。冒頭から主人公のモノローグがずっと続くのかと思いきや、彼を取り巻く家族やクラスメートたちの視点にどんどん切り替わり、また戻り、切り替わり。1章1章もとてもキリがよく、テンポ良くサクサクっと読める。でもその割に、各キャラクターの感情の機微が絶妙な表現と臨場感のある流れで描写されていて、これは小説ならではの醍醐味でした。
きっとこの人はこう考えているんだろうと思っていた相手も、いざ本人の視点に立ってみると全然違うことを考えていたり、行動の意味も全然違ったり。言葉にしなくても相手にわかってほしい想いというのは多かれ少なかれ誰にでもある欲求だろうけれども、気持ちを言語化して表現することの大切さも改めて実感しました。特に私には、主人公の姉に対する想いと、姉の彼に対しての想いや家族の中での葛藤とそれぞれの成長がじーんときました。でも、姉とその親友とのエピソードも感動的だし、他のどのエピソードも良かったです。
映画もあったので観てみた
これも御多分に洩れず有名なようでした笑。やはり、映画も本も大好きだけど詳しくはないのです(←しつこい)。
映画も良かった。キャストも豪華だし上手だし。でもこのお話、自信を持って「本の方が断然良い!!」と私は断言しちゃいます。原作を読んでから映画を観た時あるあるですが、重要(と私は思う)エピソードの省略、状況やキャラクター設定のアレンジの度合いが、「ああ〜、ここ削っちゃったかあぁぁ」「そこ時系列そうしたのかあぁぁ」と思う場面が多くて、どうしてもモヤモヤが勝ってしまった。短時間にまとめるには仕方なかったというのはもちろん理解していますが!
本も読んで映画も観た友人や、映画だけ観た友人とも感想を話し合ってみたところ、映画だけ観た友人とはけっこう重要なところの印象が違っているなと感じました。詳しくはネタバレになるので省略しますが。原作、ぜひに。
なんとスピンオフ的シリーズ本がたくさん!
本編では客観的にしか描かれなかった人たちにフォーカスした"Auggie & me"(邦題:『もうひとつのワンダー』)は特に今度読んでみたい。なぜかというと。。。
ということだそうです。これは気になる。
他にも、主人公の学校の先生による365日格言集(松岡修造とはまた一味違うタイプ)や、さらに小さい子向けに書かれた絵本とか。本編はもちろん、どれもこれも日本語版もしっかり売っています。
「そうは言っても児童書でしょ?」と思うなかれ。全世界で800万部突破のベストセラーで、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーリストというものの第一位にもなったことがあるそうです。子どもにも大人にもオススメです。
今回は小説の感想を初めて書いてみましたが、ネタバレを極力回避しようとしたら、どうにも中身のない文章になってしまった気もします。初めて読む方の新鮮な読書体験を大切に尊重しつつ、内容の魅力を余すところなく伝えるって、難しいなあ。
おまけ:どうでもいいことだけれども
映画版のお父さん役
なんか、どっかで見たことあるような。。。でもどなただっけ。。。思い出せない。。。
そしてエンドクレジットを見て思わず心の中で叫ぶ!!
『Loki(ロキ)』のMobius(メビウス)!!!スッキリ!!!(オーウェン・ウィルソンさんでした)