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『カニカマ人生論』に学ぶ

立て続いて、いつしかの積ん読の消化中、それもまたnoteで紹介されて気になった本ばかりでございます。今回はこれ。清水ミチコさんの自伝的なエッセイ。私、あんまり芸能人のエッセイを読むことが無いので、noteでレビューを見なければこれはたぶん手に取る機会はなかったと思います。(良記事ありがとうございます!)

『カニカマ人生論』- 著者:清水ミチコさん


清水ミチコさんといえば

モノマネ女王の大家、ピアノも上手ななんかすごい人、という知識のみでした、私は。レパートリーは昭和〜平成にかけてが主なのかな?どんなのあったかなぁと思ってちょっと動画を観てみたけれど、やはりどれもクオリティーがすごい。

大竹しのぶさん、杉本彩さん、叶姉妹、忌野清志郎さん、森山良子さん、などなど。。。ちょこっと毒気と癖のあるマネ方(笑)、でも声質から話し方からすごいクオリティーのモノマネのプロ。そんなイメージのある方です。

普通の女の子が有名人になるまで

随分と目次が多いなと思ったら、実に小学校低学年の時代から現在に至るまでの生い立ち、印象的な出来事などが、順々に細かい章に分かれて語られていました。そう書かれると何だか単調なイメージが浮かんでしまうかも知れないけれど、さすが人を笑わせるお仕事のプロ。語り口が上手で、飽きることなく気づいたら読み終わっていました。

私は清水さんに関しては、さっき書いたような薄ぼんやりした知識しか無かったのだけれど、女の子がいつの間にかあの清水さんになっていく変遷がものすごく自然で、親近感すら感じました。何だか、たまたまどこかのお店でばったりお会いした清水さんに(お会いしたことはないけれど)、おもしろ昔話をしてもらっているような気分。

なぜ、「ものまね」なのか

そもそものタイトルが、カニカマ!カニではない。値段も程遠い。でもカニにそっくりだし、栄養もある。絶妙なタイトルだな、と思いました。普通の女の子がなぜ、自分ではない誰かの「モノマネ」のお仕事をすることになっていったのか。本書を通して主軸のひとつはそこだったと思います。

私が印象的だったのは、ここでした。

振り返れば今年でデビュー35年にもなる私ですが、いまだにモノマネの不思議さや得体の知れなさには計り知れないものがあります。奥深いものなのか、それとも意外とめっちゃ浅いのか。似てるとなぜ人は喜ぶのか。その基準はどこにあるのか。いまだに正解はわからないのです。

P.173より

そっか、こんなモノマネ界のプロ中のプロみたいな人でも、そうなのか。驚き。

ごく普通に堅実に生きてきた女の子が、芸能界、しかもモノマネを生業とする生き方に繋がる経緯、清水さんの様々な考え方や行動の変遷を一緒になぞっていく中で、人生の妙みたいなものも感じます。

人との出逢いって素晴らしい

思いがけないきっかけでも、思いがけなくない(?)状況でも、自分にとって魅力的な人と人との出会い、というかもう出逢い、これって素晴らしいことだよな、と改めて思います。

私自身を振り返ってみても、あの時ああしたからあの人に出逢えた、あの時こうしてなかったらこの人には出逢えてなかったかも知れない、なんて思うことは多々あり、人生ってやっぱり不思議。

月並みな表現になってしまうけれど、偶然なのか必然なのか、自分の心のキーパーソンになるような人たちとの出逢いって、思い浮かべるだけでも心がじんわりあったかくなります。日々の活力。いやほんと。

清水さんも、幼少期、学生時代、そして芸能界入りのきっかけになる際にも、芸能人になってからも、そういう方々と出逢うべくして出逢っている。で、またそういう方々がその時々で心に沁みる言葉をくれる。(でも当のご本人は忘れていたりもする。それがまた良いよね。)

それでもいつの世も、またいつの夜も、地球はやんわり悲しみに満ちている、と知ってた方が救われます。そしてそれだからこそ、人は明るく生きようとしてちょうどいいんですね。

P.213

本の帯にもなっていたけれど、この一文。あのおちゃらけたぶっ飛んでるイメージの(失礼!)清水さんからこういう一言が出てくるこのギャップが、もうこのエッセイを読んでからはギャップと感じなくなりました。

さらっと読めるのでおすすめです。なんかちょっと、元気もらえます。


ところで私、学生時代はけっこうモノマネ番組観てたけど、いつの間にか正統派モノマネはあんまり観なくなってたなあ。
ここ数年は、「細かすぎて伝わらないモノマネ」の動画をたまに漁ってはクスクスしてます笑。


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