フェムテック。各社の今の温度感、どれくらい?(後編)
「フェムテック。各社の今の温度感、どれくらい?(前編)」の後編。フェムテックのブームは結局落ち着いたのか?それともまだブームは健在なのか。ウーマンズでは、こんな風に見ています。
「フェムテックの言葉はあえて使わない」との声も
現状フェムテックは、「女性の健康課題=SRHR領域(生理・妊娠・セクシュアル)」という "限定的な解釈” で社会に浸透していて、その他多くの女性の健康課題が置き去りにされています。ヘルスケアビジネスのリテラシーがある業界人であっても、フェムテックを限定的に捉えるケースが多いので、異業種から参入する企業の場合ならなおさら。
民間が実施するフェムテックに関する調査でも、「フェムテック=SRHR領域」を前提にした質問設計が圧倒的。最近では「フェムテックはヘルスケアよりも美容アイテムのイメージが強くなってきた」との声も聞かれるようになってきました。
そういったイメージが広まったこともあって、企業さんからはこんな声も。
これは、長い間ヘルスケア事業を行ってきた大手企業から、特によく聞かれます(ちなみにそういった企業はどんな言葉を使っているのか?というと、「女性の健康」「女性ヘルスケア」「女性特有の健康課題」「女性の健康問題」などの一般的な言葉です)。
フェムテックという言葉、使わない方がいいの?
前編の内容を含め、ここまで読み進めると「つまりはフェムテックという言葉そのものを使わない方がいい、ということ?」といった疑問が沸いてきますが、これはケースバイケースだと考えています。フェムテックに対する温度感は、業界人・医療者・生活者・行政など、業種や立場によって異なるからです。
もし生活者向け(とりわけトレンドセッターで且つ若年~中年層前半向け)に事業展開をしているなら、「フェムテック」の方が関心を持たれやすそうです。でも、もし貴社事業が医療機関向けなら「女性特有の健康課題」という表現の方が、スムーズかもしれません。業界人(企業人)向けなら、相手企業の社風や文化、事業内容(もともとヘルスケア業界で事業展開している企業なのか?それとも異業種企業なのか?スタートアップなのか?)によって言葉を使い分けると良さそうです。
「フェムテックって言葉だけ独り歩きして実態が伴ってない」「トレンドは一服した」「フェムテックって、女性のエンパワ色が強いからちょっと苦手」と感じる企業担当者が出てきている一方で、「聞いたことない、知らない。どんな意味なの?」と興味津々な企業さんも今もいらっしゃるので、言葉の使い分けを十分に見極めることも、マーケティング戦略上、重要です。
ウーマンズが2年連続で東京ビッグサイトで開催した「女性の健康」をテーマにした大型イベントに出展いただいたいくつかの企業さんは、共通してこんなことを仰っていました(2024年2月も開催!出展社募集中です)。
マーケティングでお悩み中の企業の方にとっては、参考になる考え方かもしれません。
女性の健康市場、フェムテックブームが後押しとなって引き続き拡大
なお、フェムテックの市場規模(国内・世界)の推計値は各所からレポートが発行され、その数値は調査元企業によって異なるため、どの推計値が最も実態に近いのか判断が難しいところですが、「フェムテック市場を限定的な解釈で捉えて推計値を出すのか。それとも広義な解釈で推計値を出すのか」によっても、全く数字は変わってきます。
フェムテックの業界マップも各所から出されていますが、これも発行元企業の担当者が「幅広い女性ヘルスケアの領域の中で、どこからどこまでの区分をフェムテック」ととらえているのか次第で、業界マップに掲載される企業のカテゴリーも数も大きく変わってきます。
現状、フェムテックに関する情報はSRHR領域で限定的に捉えているケースが多いので、本来の「女性の健康」全体を包括した市場やを見た場合は、参入企業数はもっと大きくなります。
ということで、まとめ。冒頭で示した通りフェムテック単体のキーワードの引きはだいぶ落ち着いたものの、SRHRをメインストリームとする“いわゆるフェムテック” も含んだ女性ヘルスケア市場全体は、着実に拡大し、参入企業はフェムテック元年(2020年)前と比較して急増しているーー。私たちウーマンズはそう分析しています。女性ヘルスケア市場は、健康が世界的にブームになった10年ほど前から伸びてきましたが、フェムテックのブームがその勢いを加速させたことは間違いありません。市場成長の未来は明るいです!
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