ほのぼの生きる 095_20230419
毛はなんのために・・・
昨日、祖父との思い出話を書いたところだが、続けて書いてみたくなったので、今日も祖父との思い出を。
思い出というよりは、祖父から「教えてもらったこと」
私は若い時、地元のお祭りに参加するため、和太鼓をしていた。
子どもの連(チーム)に所属し、たまたま就職先にも連があったので、しばらくの間、所属して年中活動していた。
和太鼓を始めたのは母の影響。妹も一緒に、親子3人でお祭りに参加。
和太鼓のユニフォームは法被(はっぴ)。
法被の下には、腹掛と股引を身に着ける。
曲の途中で盛り上がったところで、法被を腰に巻き付け、上半身が腹掛だけになる。
他の団体においては男性の場合、腹掛なしで演奏されることもあるようだ。
適当なイメージ写真がなかったので、ご想像にお任せします。
さて、この腹掛(タンクトップをイメージしていただきたい)。
問題となるのは「わき毛」である。
女性は「わき毛」の処理をしなければ、ステージで大変なことになる(なおこれはあくまでも日本のなんとなくの慣習であり、絶対に処理しなければならないということはないと個人的には思う)。
そこで20歳そこそこの私は、当時、流行り始めた「永久脱毛」なるものに興味をもった。
今いくらするのか知らないが、当時はとても高かった。
はっきり言ってまだまだ一般的なものではなく、お前女優かよっ!ってぐらいに、永久脱毛に行く人は少なかったのではないかと思われる。
サロンの敷居も高いし、私には大きな買い物だ。
祖父、両親、妹、弟の6人で生活していた私は少しだけ家族の中で浮いた感じに映ったんだろうと思う。
なに分、年頃の女性、ちょっとした変化にもみんな気がついちゃう。
大きな買い物、ちょっとした挑戦みたいな気持ちを前面に出した私のソワソワ感に気がついた母が声をかけた。
私は正直に脱毛の話をしてみた。
母は「そんな大金はたいてすることじゃないでしょっ」とすぐに反対をし始めた(だろーな、そうなると思ってたけど・・・)
母と私の間に暗雲が立ち込めはじめた時に、祖父はこう言った。
「うぉんのすけよ、動物はいっぱい毛が生えとるのぉ。犬でもなんでもふさふさじゃ。あれは外敵から身を守るために毛が生えとるんじゃ。人間も髪が生えとるんは、頭を守るためだ。他にも毛が生えとるが、それは大事なところを守るために生えとるんだぞ。脇にも意味があって生えとるとわしは思っちょる。人間に無駄な毛などひとつもない。神さんからもらった大事な体にわざわざ手を加えるようなことしたらいけん。自然体が一番いいってことだ。毛を剃る分にはいいが、永久脱毛はもう毛が生えてこんのだろ、それはせん方がえんやないかなぁ」
妙に納得した。
はい、これでこの問題は一件落着。
私は永久脱毛をしなかった。
お金の問題ではなかった。
祖父の教えは理にかなったものだと理解したからだ。
そして私は脇の毛を守り、お金もつかわないで済んだ。
ちなみに、ピアスも開けていない。
母は「親からもらった大事な体に穴を開けるとは何事かぁ~💢」とまくし立てて怒っていたが、そもそも私は祖父の教えがあるので、そんなことはもうしませんと思っていた。
さらには、うちの妹はそんなことはお構いなしに、とっととピアスの穴を両耳に開けてしまった。
これに関して、母は何も言わなかった(そういうとこだぞ、母!!)。
母は長子には完璧を求めるくせに、次子には自由を与えたがる。
私が耳に穴を開けようもんなら、張り手が飛んできていたに違いない。
まぁ、そのあたりは妹の自由ではあるが、姉ちゃんはな、ひとつひとつ祖父や両親(特に母)の期待に応えるべく、並々ならぬ努力をしてきたのであるよ。
妹に言わせると「私はどうせ気にかけてもらえなかったから」と少し拗ねた考えをもっているようだが。
いずれにしても、祖父とのこういう会話でなんとか私は素直に生きてきたように思う。
私はいまだに脇に毛が生えてくれば、祖父の言ったことを思い出す。
おわり