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ビーフシチュー

クリスマスだからといってオシャンなお料理を作るガッツもセンスも持ち合わせていない民なわたくし。丸鶏なんて生涯焼ける気がしねえ……と思いつつも、せっかくのクリスマスなんだから、いつもよりちょっと贅沢な食材……そう、例えばうしにくとか、うしにくとか、うしにくとか食べたくなるのが人情といふもの。

ということで、ここ数年は毎年ビーフシチューを作ることに決めている。何しろ切って煮るだけの簡単料理、それでいて時間はかかるからちょっとがんばった気分にも浸れるし、普段なかなか買えない牛肉をたっぷり使うから晴れがましい気持ちにもなれるし、寒い季節にぴったりのあつあつメニューだし、何より大好きなアク取りが思う存分に楽しめますしねえ……!


そんなわけで、イヴの晩ごはんはビーフシチューをいただきました。


ビーフシチューは寝かせてナンボと思っているので、仕込みは水曜の夜から始めた。まずは煮込み用の牛すじ肉を大ぶりの一口サイズにカットし、我が家でいちばんデカいボウルに入れて、その上から赤ワインをなみなみと注ぐ。お肉700gに対して、赤ワインはフルボトル1本分。今回は箱ワインを使いました。お肉全体をしっかりワインに浸したら、ラップをかけて台所にて一晩お休みいただく。

翌日木曜の夜。我が家でいちばんデカいフライパンにオリーブ油を熱し、ワインから引き上げた牛肉を並べて、4面全てに焼き色がつくまでしっかり焼きつける。焼き色がついたら、肉をつけておいたワインの半分をドシャーと投入し、月桂樹の葉を落とし、沸騰するまで強火で加熱。沸騰したらアクを取り(この段階では涙を呑んでざっくり除去)、あらかたきれいになったら蓋をして、30分程度弱火で煮る。

この間に玉ねぎ(八つ割りのくし切り)、にんじん(大ぶりの一口サイズ)、じゃがいも(巨体サイズを半割り)、しめじ(石づきを取ってバラす)を用意しておく。面取りなんていたしませんよめんどく星人なので。ブロッコリーは小さめの房に分けて固めに塩茹でし、芯の部分はサイコロ型にカットする。

牛肉が30分以上煮込めたところで、我が家でいちばんデカい鍋に玉ねぎとにんじん、ブロッコリーの芯を敷き詰めて、その上からフライパンの牛肉をジルごと投入。残しておいた赤ワインも投入。さらに、鍋いっぱいになるまで新たに赤ワインをドボドボと注ぎ入れたら、これを強火でガンガンあおる。沸騰したら、フォォォオオオウ!楽しい楽しいアク取りタイム!!「アク……一泡も逃さねぇ……!」という心意気でもってアクをひたすら除去する。その間も火加減はずっと強火をキープ。ここでしっかり煮立てておかないと、仕上がりがちょっと酸っぱくなってしまうのだ。

気の済むまでアクを取ったところで、月桂樹の葉を取り除き、蓋をして超弱火で3時間程度じっくりと煮込む。水分が減りすぎたら、追い赤ワインで調整。私はビーフシチューは水を一滴も入れずに作るのが好きなのだけれど、ライトな口当たりがお好きな方は適宜水割りを推奨。

3時間後、半割りにして水にさらしておいたじゃがいもをどーんと投入。シチューには煮崩れしにくいメークインが相応しいのだけれど、今回は私の大好きな「きたあかり」の大玉が特売になっていたので、そちらを使いました。じゃがいもが煮崩れないよう、火加減は超弱火をキープ。20分ほど経ったらみりんと白味噌を入れ、白味噌が溶けたらデミグラスソースを投入。さらに10分程度加熱したのちにいったん火を止めて、市販のビーフシチューのルウを溶かし入れる。ルウが溶けたら再び火をつけて、全体にとろみがついたら仕込み完了。

そして金曜、クリスマスイブ。温めなおしたビーフシチューをお皿に盛り付け、ブロッコリーをあしらい、生クリームをちょいちょいと落としたらできあがり。


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毎年思うが生クリームの配置センスが絶望的


いやいやしかしながら、じゃがいもはばっちり原型を留めていて、我ながら理想的仕上がりだ。


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今年はたまたま予定が合ったので、恋人と一緒に晩ごはんを食べることにした。シチューの他にはサラダ(水菜・紫玉ねぎ・コーン)とライ麦パンのみで、クリスマスのごちそうには程遠いですが……いい年コンビにはこのくらいで充分なんすわ……。


トータル4時間かけて煮込みに煮込んだビーフシチュー。前述の通り水は一滴も用いず、赤ワインと野菜からのジルのみで仕上げたその味はというと……濃厚~!って私の中の全IKKOお姉さまがのたまうほどのディープ・インパクト!がっつりこってりでどちゃくそめちゃんこおーいしーい!赤ワインと牛すじから出る濃厚なコクに、デミグラスソースの甘み。白味噌が、その濃ゆい世界観にほのかなやさしさを添えてくれている。何よりも、頬張った瞬間ほろりとほどける牛肉がたまらない……!毎度毎度作るたびにびっくりするけれど、牛すじってじっくり煮込むと本当にやわらかくなるな。牛肉ってのみものでしたっけ?ってレベルでホロッホロ!それでいて、お肉自体の旨みはしっかりと留めてくれているのがニクいねえ(肉だけに)。同じく頼もしい歯ごたえを未だ残しているにんじんも、どこまでも甘やか。ブロッコリーも理想的な固ゆで具合で、青くささがいいアクセントだ。対照的にトロットロになった玉ねぎ、しめじのなめらかな口当たりも素晴らしい。そして、最新の注意を払って煮込んだ男爵野郎のホッコリ具合といったらもう……!ほくほくボディの中に宿した芋くささ、ほのかな甘み、こいつに濃厚なシチューが絡まった尊さったらもう、語彙という語彙が霧散するほどのおいしさ。ヤバい……うまい……うますぎるわコレ。念入りに水切りしてから仕上げたサラダのシャキシャキ具合、軽くトーストして甘みを増したライ麦パンの香ばしさも、大変素晴らしいバイプレーヤーぶり。クリスマス・ディナーと呼ぶにはあまりに地味だけれど、この滋味に富んだメニュー、やっぱり大好きだ。ごちそうさまでした。


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デザートは、親友お手製のアップルパイ。りんごをラズベリージュースで煮たり、ブランデー(ナポレオン様!)に半年以上漬け込んだレーズンが入っていたりと、とにかくクオリティの高い逸品。私の好みに合わせて、いつも甘さ控えめに作ってくれるのがめちゃくちゃうれしいしめちゃくちゃおーいしーい!ありがとう愛してるよマイスウィートハート❤️


というわけで、今年も地味ながら自己満足度の高いクリスマスごはんになりました。


1年間、己の食い意地に忠実に暮らすよゐこぶりだったので、サンタさんもやって来ましたし……

事前に「ソロキャンプで使えそうで、ワカナが持ってないやつにしようと思う」とは言われていた。何を選んでくれるのかなーと楽しみにしていたけれど、よもやよもや、燻製器とは……!燻製、かねてからいつか挑戦してみたいと思っていたので、めちゃくちゃうれしい!2段式で魚も吊るせる大きさなのに軽くて扱いやすいし、何より見た目が格好良い(最重要)。最高です。ありがとうサンタさん……(拝み)


冬休みは世界の叡智google先生を駆使して、「燻製 初心者 らくらく」で検索しまくろうと思う。ソロキャンプ前に一度、自宅で試運転もしたいなあ。何を燻そうかしら……チーズ、ナッツ、ベーコンに鶏ハム、ああスモークサーモンなんぞも作ってみたいねえ。ぐふふ、ぐへへへへ!


例によって大量生産になったビーフシチューは、一部を恋人にもお持ち帰りしてもらい、残りは小分けして冷蔵保存した。これからやってくる年末進行(大掃除の真似事)は、こいつを相棒に適当にやっつけようと思います。

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