写真よりリアルな
いつも旅先や散歩中に、何か覚えておきたい景色があると写真に残すようにしている。
ただ後でアルバムを見返した時、実際に見た景色よりも何か欠けるような、印象が平坦なような気がしていた。
なんとなく原因は画角の広さの問題かなとか考えていた。自分が実際に見ている映像と写真とではもちろん範囲が全然違う。今だとカメラの機能でパノラマビューとかもできるし、フィルター等で印象に残ったものだけ際立たせることもできるはずなので、そのうち試してみようかと思っていたが、そこまで気にせずにいた。
そんな中先日、ふと立ち寄った本屋に展示会されていた絵が妙に気になった。そして近くにあった画集を開くと、写真では思い出せなかったあの時の旅行中に見た景色とまんま同じ印象を抱かせる絵があった。
それは緻密な絵というよりか、近くで見ると乱雑に色が並んでいるだけに見えつつ、少し離れてみると現実の風景のようにみえる絵だった。美術にはそこまで詳しくはないが、いわゆる印象派と言われる類の絵と似ているような気がした。印象派の絵画展に行った時は、それらには惹かれつつも、海外の風景の描写だったため、その時は気づかなかったが、僕はこの種の絵を写真よりもリアルに感じている。
おそらくその要因はいくつかある気がするが、そもそも僕が見ている世界自体が細部の溶けた世界なのかもしれない。
というわけで、今度からは絵として思い出を残しておきたい欲が強くなった。写真を絵風に加工するアプリやソフトもあるみたいだが、景色そのままではなく、自分の印象の強弱に合わせて表現することでもっとあの時の思い出を残せる気がする。なるほど、これが印象派のやりたかったことか。
ちょっと絵の勉強をしたくなった。