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終着駅へ行ってみた『呉線第3回』三原・糸崎

呉線の起点・終点は三原である。
運用上の起点・終点は糸崎となる。
運用上の起点とは何か?
そう感じられた読者の皆様は
JR・JTBどちらの時刻表でもよろしいので
呉線のページをごらんいただきたい。
営業キロは糸崎起点で呉まで69.4㎞と記載されている。


三原は山陽新幹線の駅

広島から三原まで利用する旅客の大半は
新幹線利用といいたいところだが・・・

三原に停車するのこだまだけで
日中は1時間に1本
所要時間はたったの25分だが
運 賃 1340円
自由席利用でも
特急料金 990円
を要する。

指定席利用だと
特急料金が2090円
どれほど急ぐかで乗る列車は変わるだろう。

たった25分なら自由席に空席がなくとも
立ったまま過ごすのもありだが・・・
2330円も払って座れないのはつまらない。

小生なら迷わず呉線経由

三原へ向かう場合は一択だ。
天気が良く雲が少ない時は尚更だ。
季節によって時間は前後するが・・・
呉線の小屋浦から須波の区間を
日没時刻に通過できるなら・・・

瀬戸の夕暮れが
「こんなにキレイな景色だったのか?」
と日本一の夕景を電車から眺められる。

それが・・・
etSETOra(エトセトラ)のような観光列車でなく
普通の電車の席から鑑賞できる。
特別料金を払わずにのんびり腰かけて見物できる。

旅人には案外セッカチな種族が多い

「旅行はすべて速達・優等列車利用」
「鈍行・普通列車なんてもってのほか」
そういう方が多数派ではないかと思う。

鉄道ヲタクのように目的地より・・・
電車に乗る事が目的。
そんな旅行なら
「あの列車に乗って○○乗換
 次にこの列車・・・・」
そんなのり鉄旅もありだろう。

また・・・電車や列車は移動手段でしかなく
目的地に到着することが一番大事であり
到着地で

『のんびり観光』

そういう旅のスタイルも当然ありだ。
そうではあるが・・・
あえて新幹線や特急を利用せず
のんびり鈍行列車の旅というのも案外楽しいものだ。

目的地や行先ごとに行動を綿密に練る旅行は
いち早く現地に到着し
定められたコースを巡り
過不足なく時間通りに進行したい。
そんな気分にかられる

小生だってそんな旅行をすることもある。
ビジネスの旅行なら・・・時間厳守は必然だ。
否定するつもりは毛頭ない。

観光旅行も

『幹事役』がいて・・・

目的地や行動手順を決めてくれ・・・
先導者に従って・・・
そういう旅はけっしてつまらない旅ではない。
内容の濃いてんこ盛り旅行を味わえる。

ただし・・・小生が広島から三原へ向かう場合は
迷わず呉線(海線)まわりを選択する。

呉線沿線に長年暮らした者の感覚は
どうしても
最寄り駅 広 中心で考えるクセがついている。
呉線で広島へ出て新幹線に乗るパターンと
呉線で三原へ出て新幹線に乗るパターンだ。

仕事や帰省などで何度も双方の経路を利用した
東へ行く場合はもれなく三原まわりを選択する。

広を10時頃出発し大阪へ行くと仮定すれば
呉線三原行の電車は
広 発10:18
三原着11:54
三原から新幹線に乗車し
大阪着13:57
所要時間は3時間39分
料金総額自由席利用で9120円

広島を経由した場合
呉線広島行の電車は
広 発10:04または10:34
広島着10:53または11:23
広島から新幹線に乗車し
大阪着12:42または13:13
所要時間は2時間38~39分
料金総額自由席で10220円

広発10:04の広島行に乗れない場合
広発10:34の広島行に乗る事になり
大阪到着は三原まわりより40分早いだけ
それが1100円に値するのか?
大阪へお昼過ぎに到着したら
当然お昼ご飯を大阪駅付近で食べる。
昼食とはいえ1000円はくだらない
御代が必要になる。

どうせ移動直後にお昼ご飯を食べるなら
新幹線か呉線の車内でお弁当を食べても
大阪での行動時間には大差がなくなる。
考え方を変えれば
1100円もらって
呉線沿線鑑賞券がセットされるのだ。
そのお金はちょうど弁当代ぐらいになる。

山陽新幹線は
「地下鉄のようにトンネルだらけ」

と揶揄する紀行作家はおおい。
「札幌市営地下鉄のほうが外を走っている」
とか
「地下鉄丸ノ内線のほうが山陽新幹線より
地上への出・入りを繰り返す」
そんな感想もある。
広島~三原間が山線と呼ばれるのは

瀬野八(せのはち)

と呼ばれる
広島市安芸区にある瀬野駅から
東広島市の八本松駅までの10.6㎞の区間が
急勾配と急カーブで知られる難所だからだ。
新幹線が急勾配を避けトンネルだらけに
なる訳だ。

広の住民が三原まわりを選択する理由は
少し新幹線代が安くなるというメリットだけでなく
東へ行く場合は三原まわりでも時間的な差が
少ないという生活実感と夕暮れ時の
「景色の良さを知っている」からだろう。

沿線はインバウンドの追い風を満帆に受けて
需要増が著しい。

青春18きっぷの発売・利用期間には一般利用者に
鉄道ファンと外国人観光客までもが参戦し
JR西日本は嬉しい悲鳴を上げている。

呉線広〜三原間の列車に旅客が満載の光景など
「年季の入った呉線利用者」
・・・小生には想像がつかない光景だ。

様々な鉄道振興策を考えながら半分寝ぼけまなこで
瀬戸の夕波をながめていると・・・
電車は大きな造船所の最寄り駅
安芸幸崎を過ぎていた
須波を過ぎて・・・
電車は三原の市街地へ分け入ってゆく。

小生が知っている三原・・・・

渋滞の名所と揶揄された時期が長かった。
国道2号線が市街地の中心部を通過するため

「どうやって抜け道するか?」
そればかりが脳裏をよぎる記憶の大半だ。
できれば渋滞になる前に・・・
夕方までには通過したい。
三原に良い思い出がないわけだ。

昼飯どきなら・・・国道沿いの
美味しいうどん屋に立ち寄る・・・
本郷へ直進せず海側の道路へ抜けた時の
安堵感と呉までの道中にある数カ所の休憩場所
どこへ寄って・・・・

三原に良い思い出がないのは
あと1時間少々で自宅に着くという理由が
大きいのかもしれない。

電車の場合も
糸崎駅や三原駅は乗り換えるための駅・・・・
駅前を散策した記憶もない。
何度もクルマで通過し・・・
十分すぎるほど知っている街なのに
いつも通過してしまう・・・

小生には
尾道も三原も通過点でしかなかった。

もう小生は・・・
「三原」「尾道」の渋滞とは無縁だ。

そろそろ三原君の失地を回復しなければならない。
今回こそはちゃんと三原駅で途中下車し
駅前を探索しようと思う。
左窓からは2時間以上前に散り散りになった
山陽本線がソーッとにじり寄っていた
三原の街は・・・
知っているのに知らない街との
不思議な出会いでもある。


JR西日本 三原・糸崎


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