【顧客とつながる】ブランドストーリーの伝え方
企業から口説かれ、売り込まれることに多くの人がうんざりしている今、人々はブランドとの真のつながりを切望しています。
しかし、どうやってそのつながりを育めばよいのでしょうか。
それは、ブランド・ストーリーを語ることです。
ストーリーを通じて、ブランドを効果的に人間味のあるものにし、自分が何者で、何をしていて、どのように人々を助けることができるのかを伝えることができるのです。
これをうまく行うほど、市場で際立たせることができ、最高の居場所を確保することができます。
ブランドストーリーの価値について
しかし、ストーリーテリングに関しては、コンテンツを作成したからといって、効果的にストーリーを伝えているとは限りません。
残念ながら、多くのブランドが「質より量」という考え方にとらわれ、説得力のあるストーリーテリングを放棄して、訴求したい製品中心のコンテンツに手を出しているのです。これは大きなチャンスを逃しています。
ブランドストーリーを語ることは、マーケティングにおいて非常に重要なのはもちろん、収益を向上させることもできるのです。
アメリカのブランドマーケティング会社 Origin & Hill Holidayの調査によると、製品やプロモーションがストーリーと組み合わされている場合、人々はホテルの部屋から絵画に至るまであらゆるものに、より多くの支出をすることがわかりました。
同様に、ユーロ経済学者のポール・ザックによる2014年の調査では、登場人物主導のストーリーによって、人々が慈善事業に56%多く、寄付する金額が増加したことが判明しました。
また、著者の経験として、過去15年以上にわたり数百のブランドと仕事をしてきて、ひとつ言えることは、製品やトレンドに関係なく、優れたブランドストーリーを伝えることが、成功企業の共通点だということです。
今日は、インパクトのあるブランドストーリーを伝えるための、役立つヒントをご紹介します。
コンテンツマーケティングがうまくいっていないようでしたら、このシンプルなガイドに従って、興味深く、魅力的で、記憶に残るようなストーリーを語ってみてください。
その前に一旦、物語を面白くするものは何か、なぜそれが効果的なのかを掘り下げてみましょう。
ブランドストーリーのサイエンス
なぜストーリーテリングはそれほど強力なのか?
それは、ストーリーテリングが生物学的反応を引き起こすからです。
ブランドストーリーは、人々の注目を集め感情を呼び起こし、人々を惹きつけます。これは、あらゆる媒体のストーリーテリングに共通することです。
良いストーリーに夢中になると、脳は物理的に反応するのです。良い物語は、脳を刺激してコルチゾール(ストレス化学物質)やオキシトシン(快感化学物質)を分泌させることができます。
これはホラー映画を観ているときに不安を感じたり、小説の結末に恋人たちが結ばれたときに幸せを感じたりするのは、このためです。
そして、メディアやストーリーテリングツールの違いによって、私たちに与える影響も異なります。
例えば、映像は感情の伝染を引き起こし、私たちの感情がスクリーン上で見たものを反映する現象です(ホラー映画の反応をもう一度思い浮かべてみてください)。
同様に、アニメーションのナレーターなど、誰かが話しているのを聞くと、脳内で神経結合が起こり、話し手の言っていることに敏感に反映するような体験ができるのです。
しかし、映像を見たり、人の声を聞くだけではありません。重要なのはストーリーの核です。説得力のあるブランドストーリーを伝えることができれば、人々は自然に魅了されます。
ビジネスをどう築き上げたかというストーリーであれ、製品がどう人々の生活を向上させたかというストーリーであるかどうかに関わらず、独自のブランドストーリーを見つけることは、人々を魅了し、あなたのブランドと関係を築くよう促す最も効果的な方法のひとつです。
優れたブランドストーリーを生み出す鍵
まず、ブランドストーリーにインパクトを持たせるものは、何かを理解する必要があります。
最終的に、それは5つの特定の要素に行き着きます。これらの要素に当てはまるストーリーを語ることで、ブランドを最初から成功に導くことができるのです。
1) 有意義であること。
誰もがコンテンツ競争に陥っています。
多くのブランドが注目を集めようと競い合い、競合他社の流行に乗じて競い合っています。そのため、多くのブランドが、人々が実際に関心を持っているものではなく自分たちが作りたいもの(あるいは他のブランドが作っているもの)に焦点を合わせています。
良いストーリーを伝えたいのであれば、あなたが届けたい人々にとって興味深く、関連性のあるものでなければなりません。
2) パーソナリティに溢れていること
あなたはあらゆる種類の物語を語ることができます。
それはエンターテインメントであったり、教育的であったり、またはインスピレーションを与えるものであったりします。
しかし、人々はそのストーリーに自分と個人的につながっていると感じる必要があります。
これは、ただ興味を引くだけでなく、人々をストーリーに引き込むためにも重要です。
あなたのブランドは、彼らの生活をどのように向上させるのでしょうか?なぜ、彼らはこのストーリーに時間かけて読む必要があるのでしょうか?
覚えておいてください。
あなたのストーリーに誰かの居場所がなければ、その人はストーリーに注目を払う必要はないのです。
3) エモーショナルであること
強力なブランドストーリーとは、感情と共感を呼び起こすことです。
何をするかだけでなく、人々にどのような影響を与えるかが重要なのです。
確かに、あなたのソフトウェアはEメールを自動化するかもしれませんが、それは最終的に人々の生活をより簡単に、ストレスをなくすものです。
それが、ストーリーの感情的なフックとなります。
ブログの最初の段落やビデオの最初の数秒間でその感情を引き起こすことができれば、あなたは人々を夢中にさせることができます。
4) シンプルであること
ブランドのストーリーテリングで最もよくある間違いのひとつは、多くを語りすぎることです。
人々に様々なストーリーを浴びせるよりも、非常にシンプルなストーリーを伝え、感情移入を最大化する方がはるかに優れています。
例えば、医療業界が直面している大きな問題を語ることもできますが、これらの問題が実際の患者にどのように影響するかを示すことで、ストーリーは一点に集中し、より感情移入しやすくなるのです。
つまり、一度に一人の人間や一つの問題に焦点を当てることで、読者を混乱させたり、気を散らしたりしないようにするのです。
5) 本物であること
ブランドストーリーを共有するとき、人々にそれはあなたのストーリーであることを知ってもらう必要があります。
それは、オープンで、正直で、透明であることを意味します。あなたの個性を輝かせるということです。
また、一貫性があることも意味します。大量のコンテンツを作成するときは、人々があなたのコンテンツを識別できるだけでなく、信頼できるように、一貫性を貫くことが重要です。
ブランドストーリーの伝え方
ここでは、ブランドを正確に反映し、長期的な目標に沿ったストーリーを伝えるための必要なステップを概説します。
ステップ1:自分のストーリーを知る
ブランドストーリーを語る上での最大の障壁のひとつは、自分たちのブランド、つまり自分たちが何者で、何をしていて、何を大切にしていて、なぜそれが重要なのか、についてよく理解していないことです。
これが明確でなければ、ストーリーを適切に伝えることは困難です。
そこで、コンテンツのアイデア出しをする前に、基本に立ち返ることが大切です。
ステップ2: ブランドストーリーのアイデア出し
製品、サービス、業界を問わず、興味深いブランド・ストーリーは必ずあるはずです。
時には一歩下がって、日々の業務を俯瞰してみることも必要です。
多くの場合、語られることを待っている、素晴らしいストーリーがたくさんあります。ブランドは、それらを明らかにする方法をいつだって知っているわけではありません。
アイデア出しは、ブランドの具体的な一部分を中心にブレインストーミングを行うと効果的です。その際、以下にある質問を自問自答することで、アイデアのヒントを得ることができます。
1) 自分は誰なのか?
あなたは顔のない企業ではありません。
あなたのブランドを立ち上げたのは、実在の人物(または複数の人物)です。オフィスで働き、製品を作り、ソーシャルメディアを運営しているのは、実在の人物です。
あなたの顔を見せることは、人とのつながりを育む最善の方法のひとつです。
この種のコンテンツは、特に楽しく作成できます。
なぜなら、舞台裏の紹介、従業員の紹介、お気に入りのものなど、あなたのブランドの個性を存分に発揮できるチャンスだからです。
2) 自分は何をしているのだろう?
あなたが提供する製品やサービスについて考えてみてください。これらを語る、あるいは紹介する方法は、従来の営業資料以外にもたくさんあります。
あなたの製品を特に便利で効果的にしているユニークな機能はありますか?あなたのサービスから恩恵を受ける驚くべき方法はありますか?
工夫次第で、あなたのブランドをワクワクするような方法で紹介する、興味深いコンテンツを作ることができます。
注:課題や問題から始まるブランドストーリーを語ることは、葛藤がちょっとしたストレスや好奇心を生み出すので、賢い方法です。
また、製品を「ヒーロー」として見せ、満足のいく解決策を提供できれば、ストーリーは気持ちの良いオキシトシンを与えることができます(たとえば、セキュリティソフトウェアが、ある家族の小さなビジネスを個人情報の盗難から守ったというストーリーを語ることができます)。
3) 誰のために行うのか?
あなたが助けたいと思う人(ターゲット顧客)について考えてみてください。なぜ、その人たちのことが気になるのでしょうか?どのように彼らの役に立ちたいのですか?
何をするかだけでなく、それがどのように人々の生活を向上させるかについて考えましょう。
例えば、あなたのアプリで人々が簡単に休暇予約できるようにするのであれば、それは究極的には、人々が心からリラックスして人生を楽しむことができるようにするためのものなのです。人々は、教育、娯楽、刺激、あるいは賞賛に値するコンテンツを求めています。
それらをブランドストーリーに組み入れる機会を考えてください。
例えば、顧客のストーリーの中で、あなたのブランドが役に立つ相棒として登場させることができます。「このブランドの快適な靴が、私がゴールを切るのを助けてくれた!」
また、個人の逸話をストーリーテリングの道具として使うこともできます。
4) なぜそれを行うのか?
どんな製品やサービスであっても、小さなスタートアップ企業であっても、100年前に創業した老舗ブランドであっても、存在意義があり、おそらくはより高い目的があるはずです。
ホームセキュリティの会社であれば、人々の安心を守るために財産を保護します。サプリメントの会社であれば、栄養を与え、いつでもどこでも摂取しやすい錠剤を提供します。
このような大きな使命を共有し、達成するためにコンテンツを利用することは、ブランドの宣伝になると同時に、あなたが本当に大切にしていることを人々に示す素晴らしい方法です。
ブランド・ハート(目的、ビジョン、使命、価値観)またはあなたが大切にしている活動について、ストーリーを伝える方法を考えてみてください。
例メタコラムのパーパス(企業理念)は、「人・社会・地球に、笑顔を。」です。
それゆえ、人々の生活の向上、地域活性や地方創生など社会課題の解決、地球の環境保全に役立つコンテンツ作りを目指しています。
5) どうやって実行するの?
人々が知りたいのは、なぜ、何をするのか?だけでなく、どのようにするのかということです。
製品、生産、プロセスを可視化するブランド・ストーリーは、特にインパクトのあるものになります。
独自の技術を使っているのか?材料は持続可能な方法で調達しているのか?革新的な製造技術を使っているのか?
このようなコンテンツは、教育的であると同時に、ビジネスの運営方法への洞察をもたらし、人々が求める透明性を提供することができます。
例このNadaamのインフォグラフィックでは、ウールの調達方法、従来の小売業者とは異なる方法、ウールを提供する羊飼いを支援するための購入方法について詳しく説明しています。
6) 将来をどう描いているか?
ブランドがどのように進化しているのか、何を目指し、将来的にどう成長していく予定なのかを語る方法を考えてみてください。このようなストーリーを共有することで興奮が生まれ、人々をあなたのブランドストーリーに引き込むことができるのです。
さらに、あなたが自分たちの未来に投資していることを知れば、あなたと長期的な関係を築く可能性が高まります。
ステップ2をベースにブレインストーミングを行い、ストーリーのアイデアのリストが完成できましたら次のステップに進んでください。
ステップ3:アイディアを吟味する
スマートで、クリエイティブなアイデアに夢中になるのは簡単ですが、それがブランドストーリーの延長線上になければ、最終的にあなたのブランドの役には立ちません。
最初のブレインストーミングが終わったら、次はそのアイデアを吟味するために、次のような質問をしてみましょう。
・なぜ、このストーリーを伝えたいのか?
・私のユニークな切り口は?
・このストーリーはペルソナにどんな価値を提供するのか?
・このストーリーから何を得られるのか?
例LinkedInマーケティングソリューションは、マーケティング担当者を動員して目標達成することに全力を尽くしています。その実現のために、ネイティブ広告に関するヒント、統計、深い考察を満載した電子書籍を作成しました。
これは、ネイティブ広告について人々を教育するのに役立ち、彼らはLinkedInのプラットフォームで使える知識を得ることができました。このように、ブランドのストーリーテリングとしてWin-Winの作品となったのです。(ネイティブ広告とはコンテンツに自然と溶け込む広告全般のこと。)
ステップ4:適切なフォーマットを選ぶ
すべてのコンテンツで最も重要な目標は、ブランドストーリーを可能な限り効率的かつ効果的に伝えることです。そのため、適切な形式を選択することが重要です。
しかし、そのコンテンツがストーリーに合っていなければ、意味がありません。(場合によっては、ストーリーを大きく損なってしまうこともあります)。
コンテンツ制作に入る前に、ストーリーに最適な形式を見極めましょう。
形式は、コピーの作り方に大きく影響します。
最も一般的なストーリーテリングの形式をいくつか紹介します。
・記事
・ケーススタディ
・データビジュアライゼーション
・電子書籍
・解説動画
・インフォグラフィック
・モーショングラフィックス
・ホワイトペーパー
例:Warby Parkerは、非常にクリエイティブで個性的な年次報告書で知られています。彼らの魅力的なインタラクティブ・レポートは、しばしば隠された驚きが含まれているため、ブランドを知るのと同時に、コンテンツを楽しむことができます。
ステップ5:物語をつくる
ストーリーのアイデアが浮かんだら、切り口を絞り込んで、人々の心をつかむ魅力的な物語を構築する必要があります。調査によると、人は親しみやすい物語の構造に特に惹かれることが分かっています。
そこで、有名映画「ショーシャンクの空に」を例えにします。
優れたストーリーは、このような波乱万丈さ・困難にめげずに立ち向かう物語を作り、夢実現や解決(理想的にはあなたの製品)で終わります。
ストーリーに関係なく、読者や視聴者をコンテンツに引き込む方法を考えてみてください。一般的な方法をいくつか紹介します。
・問題解決
・ビフォーアフター
・解説
・個人的な話
ステップ6:ブランドを考える
コンテンツは、見た目から使用する言葉まで、すべてあなたのブランドを正確に反映したものでなければなりません。また、コンテンツは過度にブランドを訴求するべきではありませんが、それが誰によって作られたかは知ってもらう必要があります。
このように、あなたのコンテンツは、あなたのブランドストーリーを反映していることを確認してください。
ステップ7:ブランドストーリーを共有する
コンテンツを完成させたら、多くの人に届くように、人々にあなたのストーリーを共有してもらいましょう。コラムやEメールリストへの公開、ソーシャル共有ボタンのテスト、コンテンツのSEO最適化など。
最後 成長するための方法を模索し、実験する
ブランドストーリーを伝えることは、1回限りのコンテンツで終わりではありません。どのストーリーが共感を得られるかを見極めることは、特に始めたばかりの企業にとっては、継続的な課題です。
実験を続けながら、どの段階でもチームが成功するように仕向けることに重点を置いてください。
そしてもちろん、必要であれば、遠慮なくサポートを受けましょう。
戦略に行き詰まったときでも、コンテンツ制作に悩んだときでも、クリエイティブエージェンシーは大きな力を発揮します。
メタコラムは、あなたのブランドストーリーを伝えるお手伝いをさせていただきます。