【向日葵は枯れていない!】10.ギラヴァンツ北九州ミニレビュー~第3節 vs ヴァンラーレ八戸
なかなか論じにくい内容のアウェイ八戸戦でした。
今の北九州の悩ましさが詰まっていたとも言えますが、悩むのであれば勝点を積み上げながら悩みたいものです。
そういう意味では価値があった一戦ともいえます。
振り返ります。
北九州も八戸も水曜日にルヴァン杯2回戦に臨み、お互いJ1(町田、鹿島)を相手にハードに戦いました。
このリーグ戦ではメンバー変更はあったものの、お互いに疲れは隠せなかったという印象が残りました。
更に試合を難しくしたのが上空8m/sの強風とボールが走らないピッチコンディションでした。
元来、筆者はトライフープスタジアムのデーゲームには風が強いイメージを持っていたのですが、ホーム八戸の地の利にすらなっていない程、お互いボールコントロールに苦しんでいました。
前半、北九州は風上に立ちましたが、風やピッチの加減を掴むのに時間が掛かっていた印象も強く、決して風上が有利に働いていたともいえませんでした。2分、八戸ゴール正面OFM(20)矢田旭のFKが落ち切らなかった点からもボールコントロールの難しさが伝わってきます。
試合全体で攻撃が機能していたのは、風上に立った後半CF(90)オリオラ・サンデーを走らせた八戸の方でしたが、ゴール前であわやという場面をつくりながらも、GK(27)田中悠也を中心とした北九州の堅守を崩すことは出来ませんでした。
今回も試合中の印象と、SPORTERIAさんの各データを照らし合わせながらまとめているのですが、PA内侵入傾向をみましても最近の北九州は右サイドからゲームメイク出来るようになっており、この点はチームとしての大きな成長と感じています。
RSB(22)山脇華織の攻撃参加には継続的に注目していまして、特にグラウンダーのクロスの精度は目を見張るものを感じています。
以前のミニレビューでも述べたのですが、こうして右でつくれるようになるとCF(10)永井龍やLSH(21)牛之濱拓がフィニッシュワークに絡めるという効果が期待できます。
しかしこの試合、その(10)永井や(21)牛之濱がシュート0に終わってしまった点は痛かったといえます。
最もシュートを放ったのが(20)矢田なのですが、シュートが(20)矢田一人に集中したことからも八戸の最後の守備は的を絞りやすかったかもしれません。
比較的、ボックス手前までは小気味良いパス、時折ワンタッチの緩急もつけながら繋がる場面もあるのですが、最後ボックスに縦に差し込むことが十分に出来ていないという印象が残りました。
時間帯別のパスネットワーク図でも普段より横パスが目立つ結果が残っています。
筆者は今の北九州のメンバー構成を考えた時、テクニック溢れる彼らの特性を活かした攻撃構築は効果的と考えており、ショートパスを細かく繋ぎながらボックスに迫るやり方自体は理には適っていると思うのです。
ただし、どこかで誰かが味方を追い越す、ボックスに侵入する、シュートを撃つといった得点に直結する作業をもっとしなくてはなりません。
(14)井澤春輝や(19)井野文太もとても良い選手との印象を持っていますが、彼らがもう一段ステップアップするにはシュート意識をもっと高めなくてはならないのでしょうね。
このようにシュート意識を高めようと書くのは簡単なのですが、なかなか得点が伸びていないチームの場合、選手にもより確実なシュートチャンスを得たいという意識や、シュート失敗によるチャンス逸、または被カウンターといったシュートを撃つことによるマイナスのイメージも作用するのかもしれません。
北九州のような豊かなパスセンスを持っている選手が多いチームの場合、シュートを撃つというよりもゴールにパスをするという感覚で崩し切ることを目指した方が、案外早く得点増に繋がるのかもしれないとも思うのですが、ある意味永遠のテーマに応援している側としても頭を悩ませるのであります。
しかしながら、琉球戦でOGにはなったものの(7)平原隆暉のシュート(多分ラストパスだった)やルヴァン町田戦での(8)若谷のゴールなど、北九州の選手も少しずつゴールの味を憶え始めた(思い出した)頃でもあります。彼らの更なる覚醒にも期待したいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
岡山のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。
JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。
2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。
北九州大学(現:北九州市立大学)法学部出身
北九州は第二の故郷ということもあり、今シーズンからギラヴァンツ北九州もミニレビュー作成という形で追いかける。
鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。
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