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子どもの“ケア”は外注できない。登園拒否が10ヶ月続いた話

とにかく忙しい毎日を過ごしていると「誰かにやってほしい!」と思うことがいくつかある。

ワーキングマザーとして早6年。
これまで試行錯誤が功を奏し、お掃除は家事代行サービス(タスカジ)とロボット掃除機に任せ、洗濯もガス式乾燥機(乾太くん)を導入してから、だいぶ心と時間に余裕が持てるようになっていると思う。

一方で「これは誰かに任せられないな」と感じ続けることがある。
それは、子どもの”心のケア”である。

子どもが学校に行きたくない、といったとき
子どもが幼稚園やだ、といったとき
なんとなく不安そうで、食欲がなく、「ママ、ママ」とくるとき。

私は、「はい、(子どもが不安定な時期が)来たよ~」と覚悟を決めるとともに、「気持ちが安定するまでに、おおよそ○ヶ月だな」と長期戦への覚悟を決め、迫り来るオンライン会議までの残り時間を計算する。

娘の園は、幼稚園型認定こども園である。
親が就労等の理由で保育を必要する子どもたち(全体の3分の1)と、そうでない子どもたち(3分の2)が同じクラスに存在する。
通常の保育時間も、前者は18時半までの定められた時間で、後者は13時半降園となるし、夏休みなどの長期休みになれば、クラスの2/3の子どもたちが登園しないことになる

今年度年少になった娘は、ある日、自分の母親が早く迎えに来ないことに気付き、不安を抱えていた。

幼稚園は楽しい。でも、私のお母さんはなぜ来ないのか。
3歳には、かなりキツい問いだと思う。

嘘やごまかしのない回答をしたい。
私は、信頼する先生へも相談し、悩みに悩んで、誠実に以下の5つを伝えることにした。

  • お母さんには楽しいと思う仕事があり、娘を産む前からずっと続けていること

  • 幼稚園には少ないが、お仕事をしているお母さんは世の中にとても多くいること

  • 今の幼稚園は、楽しく、安全な場所としてお母さんが選んだこと

  • お母さんにとって娘は何よりも大切な存在であるから、不安なときはいつでも伝えてほしいこと

  • 娘にも、大きくなったら自分が楽しいと思うを仕事を、思う存分楽しんでほしいということ

こんなことを伝えても、娘にとっては腹落ちする理由にはなっていないかもしれない。

だが、自分で園服を身に付け、靴を履いた姿を見ると「行かなくてはならない」と感じながら、「行きたくない」と言っていることが見てとれる。
「行かなくちゃ」と「行きたくない」が頭の中で往来し、落ち着く場所が見つからず、母親の膝の上で泣いているのだ。
極めて、健全じゃないか。

彼女自身の葛藤に気付いた時、オンライン会議への10分遅刻が大した問題じゃないように思えた。

送迎という行為を誰かに頼めても、子どもはきっと、親(や信頼できる誰か)に抱きしめてほしい。
楽しかったことや嬉しかったこと、不安なこと、少し嫌な気分になったことも、親(や信頼できる誰か)に聞いてほしいのだと思う。

大人の私たちも、そうじゃないだろうか。

親ができる子どもたちへのケアとは、きっと、抱きしめ、話を聞き、子どもたちの内発的な行動を待つことだ。

娘の登園拒否は、登園する子どもたちがぐっと減る、夏休みに入ってより複雑になった。
なぜか、夫だと全く泣かないことに気づき、夫にしばらく送迎をお願いした時期もある。(毎朝泣かれる、私側のメンタルがもたなかった、ということもある)

そんな時期を経て、1月下旬。
いつものように幼稚園の玄関で靴を履き替えると、突然「行ってくるね」と娘の方から手を振られた。
しっかりとした足取りで、こちらを振り向かず、教室へまっすぐ進んでいく。
娘が、“何か“を乗り越えた瞬間だ。

最後まで見届けたいという気持ちを抑えながら、私もくるりと背を向けた。
「ありがとう」
その時、私が感じた娘への深い感謝は、一体、何に対してだったのだろう?

今日の会議は無事に間に合いそうだから、だろうか。
今朝は、私を困らせなかったから、だろうか。

いずれもYesかもしれないが、
そこには、娘の素晴らしい成長の瞬間に立ち会わせてもらえたことへの感謝があった。

想定していた期間より、はるかに長い時間がかかった。
だけど、子どもはいつか必ず乗り越える。


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