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井戸の謎から見えた大奥の闇【モノノ怪考察】



今作唐傘において登場した大奥内に存在する井戸。

大奥の秘密や御水様信仰と深い関わりがあることは明確ながらも、多くの謎を残したまま終幕してしまいました。

そんな井戸について残された謎を考察しましたのでご紹介していきます。




井戸内の謎の空間



井戸内の存在が明かされるシーンにて、視聴者や三郎丸に衝撃を与えたのがこのなんとも異質で気味の悪い謎の空間。

この一カットで、どれだけの疑問と考察が脳裏を駆け巡ったことでしょうか。

情報量があまりに多いので、ひとつずつ紹介していきましょう。


謎の入り口を発見



上映中、あらゆる謎が潜むこの場所ついてじっくり観察していました。

井戸内の間取りをなんとなく描き起こしてみたのでご注目。


そこで、謎の入り口があることに気が付きました。


まず気になるのが井戸内の一番奥側。

中央を通る通路は祠の前で十字路に分かれ、左右に分かれた通路の先、登り階段を上がった先に謎の入り口が存在しています。

場面写真を拡大してみると奥に映っていますね。

この入り口は井戸内の最奥にあり、これだけが祠と同じ通路に存在していて、階段を上った先にあります。
他の入り口に比べて格式が高いかのような違いがあるのが少し気になります。


黒い門の手前側には、三つの水路と二つの入り口が並んでいます。

奥側の入り口と違い、水に向かって階段が伸びているのがどういう意図なのか不思議なところです。

唐傘が襲ってくる前には必ず水路を水が流れるようなカットが一瞬映るため、それがこの入り口なのかとも思っていたのですが、上記画像の左側に水路があるので違いますね。

そもそも本来水源である井戸に対して、どこからか水が流れてくるというのも不思議な気がしているのですが…。


後にも触れますが、溝呂木がこの空間内に出入りしているため、井戸内に入るための入り口があるということは確実だと思います。
三郎丸のように毎度井戸から飛び降りているわけもありませんし。

どこからか入れるのなら、この入り口は大奥内のどこに繋がっているのか。


あるいはこの先に何かの部屋がある?とかもありそう

いずれにせよ不穏な空気がしてなりません…。



日本神話の壁画



井戸内の空間では、黒い大きな門を境に二種類の壁画が描かれています。


奥側は墨絵のような雰囲気で、鱗のある細長い生物が描かれています。
妖怪の蛟か?八岐大蛇か?あるいは竜のような。

祠の周りに描かれているからには崇拝対象となる生物なのでしょうか。なんだか不穏な雰囲気を漂わせています。

手前側には打って変わってエジプト風の壁画。


画像左側には勇ましい表情で剣を振るう男。
そしてその対面側には頭が複数ある細長い生物が描かれています。

これは日本神話のヤマタノオロチ伝説の絵に見えますね。

剣を持つ男はスサノオノミコト。対面の生物はヤマタノオロチ。


次回作がヤマタノオロチ伝説をもとに作られるというのは既出ですので、かなり考察として固いと睨んでいます。

これに関しては以前紹介していますので是非読んでいただきたいところです。


また、それぞれの隣に描かれているいかにもエジプト壁画っぽい女性の絵も気になるところ。

入り口ごとにそれぞれ違うモチーフが描かれているのがなんとも意味深ですね。


井戸の謎を知る男



今作での登場は少なくも井戸の秘密に大きく関わってきそうなのが溝呂木北斗という人物。

作中では明確な説明はありませんでしたが、「御水様」信仰の司祭をつとめる人物です。
井戸前での儀式にも立ち会っていましたね。

御水様の秘密と深く関わりがありそうです。

特に彼を怪しく見せるのは何よりこのシーンでしょう。

溝呂木は井戸内の空間にて、座禅のような儀式を行う姿が。
ラストシーンでも、再び井戸内の空間に訪れるシーンがありました。

唯一井戸内の空間に出入りしている人間ということです。



そして同じくこのシーンにおいて溝呂木は、上から流れてくる水を浴びて一言。

「水は美味いか?アマ…いや、御水様。」

この一言に含まれるものが多すぎる!なんて罪深い男…。

この台詞をみるに溝呂木は、御水様の正体を知っている
「アマ…」と言いかけたのは、本名的な何かを言いかけたのでしょうか。


御水様を信じていない?



先程の台詞、意味深な言葉もさることながら、前半の「水は美味いか?」もなんだか引っ掛かります。

というのもこの溝呂木、全体を通して御水様信仰への温度差にずっと違和感があります。

女中たちが井戸の前に座し、御水様の儀式を行う場面。

水を飲まないのは百歩譲って司祭だからかな?だとかまぁ納得できるのですが、こともあろうに井戸にもたれかかり煙管まで吸う始末。

御水様とは呼びつつも、水は美味いか?などと軽口で語り掛ける様子も。

大奥では当たり前にその存在が在るとされ神格化されている御水様に対しての行いとしてはいかがなものでしょうか。

大奥における御水様信仰を俯瞰しているように見えました。


まだ大奥に染まっていない新人のカメたちや客人である三郎丸たちとも違って大奥に長らく身を置いており、ましてや信仰司祭であるにも関わらず、御水様を俯瞰あるいは嘲笑している可能性すらあります。

御水様の正体を知る者であるが故なのでしょうか。



井戸内に沈む死体の謎



今作では、井戸内にて大量の女中の死体が発見されました。

これにより、井戸の秘密と大奥の関係について様々な疑問が沸き上がってきました。


唐傘による死人ではない



大量の女中の死体。
モノノ怪によって殺された女中たちであることは明白ですが、これらについて、唐傘だけの所業ではないのではと考えています。


はじめに北川様が亡くなりモノノ怪へと成ったのは二月前、つまり唐傘の犯行は直近の二ヶ月

それに唐傘はなにも片っ端から人を襲うような邪悪な妖怪というわけでもありません。
カメに牙をむく淡島や麦谷。大奥で何かを渇望するあまり大事なものを見失った行動をとった”渇いた”人の前に現れるのが唐傘でした。

淡島と麦谷の事件後、「この短期間で二人も」というような台詞もあったので、唐傘の被害者は作中で描かれた人物の他に居ないとと考えてよいでしょう。


ではあの死体の山はなんなのか?

三部作における三体のモノノ怪の被害者が井戸内に集約しているという説が最も必然であるように思います。


複数のモノノ怪による被害者を隠すように棄てられてきた過去。

そうなるとあの不気味な井戸に溜まり続ける人々の情念なんてものは計り知れないほど肥大化してしまっているのではないかと、考えるだけで恐ろしいですね。


井戸の秘密を知る女中



井戸内の空間について一つの疑問が。

三郎丸が井戸内に飛び込んだ先に広がる景色を見つけ叫びをあげる一方で、自らこの場所に足を踏み入れている溝呂木の姿もありました。

では大奥の人達はこの場所を知っているのか?

三郎丸がこの空間の存在を知ったのは、女中からこっそり渡された手紙。いわば密告によるものでした。

つまり女中たちは、井戸の秘密について知っているものと思われます。


おそらく大奥にとって神聖な場所であるこの場所を、ただの女中がお目にかかることは難しそうなのでさすがに入ったことはなさそうですが。

「井戸内に部屋のような空間がある」「そこに祠が祀られている」「過去姿を消した女中の死体がある」
はたしてどこまで認識しているのか?

消えた女中について詮索している三郎丸に対して情報を与えたわけですから、暇と称して大奥を去った女中らが井戸内に棄てられているという点まで全て知っているのではないでしょうか。

この場合、御水様の儀式の恐ろしさが変わってくると思いませんか…。

共に働いていた人たちが次々姿を消し、死体が捨てられた井戸から汲んだ臭い水を毎日飲んでいる。

最初に感じた単なるカルト的な狂気とはまた別の狂気が見えてぞわっとします。


唐傘襲来後、歌山さんによる命令で麦谷さんの死体を井戸に葬った淡島さんについても、この仮説を踏まえるとまた変わった見え方をしますね。

この秘密について全員が認識しながらも黙認しているとなれば、大奥の闇というのも想像以上に深いものかもしれません…。





あまりに膨大な情報量と秘密を抱えている井戸。
大奥の真相と密接に絡んでいそうで考察が止まりません。

今更感のある記事になってしまいましたがお付き合いいただきありがとうございました。

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