
ヒトリヲモテアマス
カルボプラチン単剤投与したのが、先週の火曜。
1週間経つことになる。
やっと4回目が終わった。
あと2回だ。
食欲は出てきてるけど、身体のなんとも言えないだるさが取れない。
睡眠薬を飲まないとこの期間は眠れない。
そのせいか昼間でもぼうっとしている。
抗がん剤の体の怠さなのか、睡眠薬のせいなのか…。
何かしたいけれど、あまりに怠くて体を動かせない。
せっかく食べられるようなったから、アイスクリームなんて、食べたくもないのに口に運んでみる。
甘重い塊があっという間に私のお腹に溜まって、カップからその姿は消えていく。
本当は体に悪いんだろうな。
がん細胞はブドウ糖をエネルギー源としているらしい。
せっかく抗がん剤でやっつけた癌が、アイスクリームのブドウ糖を食べて復活したらどうしよう。
そんなことがチラッと頭をよぎったけど、これだけ頑張ってる私なのだから、これくらいなんてことないと考えを打ち消した。
なんだかスッキリしない。
爽快感がない。
家の中は適度に除湿され、陽射しを遮り快適に佇んでいられるけれども。
その分なんとなく薄暗い陰を落として、必要以上に空気を寂しくさせている。
こんな時は昼間から白ワインとか飲んだりして、サラダとかパスタとかお魚とか食べてスカッとしたいなあ。
「抗がん剤 ワイン」などと無駄に検索し、イヤイヤ、そもそもアンタ、今、酒飲めるテンションでもコンディションでもないでしょって心の奥で突っ込みにもならない。
けれどねスカッとしたいんだ。
スカッとした何かを求めてあてなく彷徨う。
そうして気候変動でおかしくなった、空の雲の形と纏わりつく熱い空気に、抵抗できずにされるままやっとやっと脚を進めて。
なにかスカッとするものを。
なにかスカッとするものを。
空を見上げてハタと思った。
ヒトはこうして、道を外れたことをするんだな。
ああ、そうか。
この感覚か。
初めて知った。
今までは、お酒とかオシャレとか、スイーツとか。コスメとか、音楽とか、好きな人とか。
ぬくもりとか、占いとか、恋バナとか。
映えとか、映画とか、ドラマとか、漫画とか。
旅行とか、温泉とか、リゾートとか。
なんとかなってきたんだなあ。
いま、、なんもできないなあ。
気づいた私、すごくない?
じゃあ、どうする?
お酒買う?笑
私は「今の私」で、
私のできることで、
これからも、
なんとかしていくしかないんだなあ。
この身体の怠さは、あくまで一時的なこと。
やり過ごせる。
全然やり過ごせる。
時間が経てば終わること。
それに、自分が付き合えるようになっていくこと。
それって、歳を経て、体がいうことをきかなくなっていけば、誰でも経験することなのかもしれない。
今日は半身浴をすることにしよう。
音楽を聴きながら、レモングラスを飲んでゆっくりしてれば大丈夫だね。
熱気が相変わらず体を包み、頭を重くさせたけど、青いだろう空を見上げもしない。
太陽に捕まらないように早く家に辿り着きたい。
ひんやりとしたすまいへ、帰っていくのだった。