もみの木
絵本の紙をめくる時の音
開いた絵本の中の
もみの木の緑色は深くて
てっぺんに金色のお星さま
なんて名前の絵本だったろう
11月の街を歩けば
むらさき色の
もう緑色などどこにも見当たらない
巨大クリスマスツリーがキラキラと瞬いている
大きくて
少しだけゆっくり立ち止まって見上げる
テーブルの上の
小ぶりのクリスマスツリー
青と黄色と赤と緑と
じゅんじゅんに点滅するライトを巻いて
モールで出来たサンタさんはひしゃげてる
トナカイと木製のソリと
プラッチクの雪の結晶をぶら下げて
雪にみたてた綿をのせるのだけど
何年も使っているからごわごわに固まってる
にゅぎゅにゅぎゅとひっぱってふわふわにして枝に乗せて
てっぺんに金色のお星さまをのせた
子供のころのクリスマスツリー
ある年のプレゼントは
小さなぬいぐるみだったけど
買いに行くとき
何か小さなケンカしていて
灰色の空気になっちゃった
どんな
わるさをしたのだったっけ
それからずっとそのぬいぐるみは
ひんやりとし続けて
白くなっていくばかりで
遊んでも
抱いても
あたたまらなかった
点滅する
テーブルの上のカラフルな色
お菓子でいっぱいの片方だけのブーツには
ちゃんと足を入れてみて
よろけて転んだりした
バターケーキの上の赤い甘くて少しすっぱいもの
大きくて
まぶしい電飾のクリスマスツリーを見上げてみたら
今の私よりもはるかに若い父と母との
12月のページが見えました
夕方にイルミネーションのある街をあるく事がほとんど無いので
久しぶり見上げる電燈式のツリーがまぶしかったです
むらさきにピンクに水色に
次々に色が変わります
翌週に点灯前の明るい時に見るとちゃんと緑色のツリーでした
暗くなって電燈がまぶしくて木の緑が見えていなかっただけなのでした
私には干支がひとまわり違う弟が一人いるのですが
子供の頃、ひとりっ子で寂しかったせいか、ぬいぐるみが大好きでした
あの年は、私のわるさか、両親の些細なケンカか詳細は覚えていないけれど
なんだかかなしい空気だった事や、ぬいぐるみの冷たさは
思い出せるのだなぁと驚きました
同時に絵本で見た
もみの木の緑色が深くてなんだかたのもしいような
安心するような感じがした事を
忘れずにいます
なんて名前の絵本だったのかなぁ
やっぱり思い出せないのですが
もみの木の緑の思い出はあたたかいのです
マガジンに追加していただきました
「おとなしやか」という言葉に出会ったので
せいさま
ありがとうございました😊
記事を紹介していただきました
「河合隼雄さん」を
にじさま
ありがとうございました😊
最後まで読んでくださりありがとうございました😊
こうして好きな事出来ている今に感謝です。