見出し画像

「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」(アニメ) 感想

原作 - 三田誠/TYPE-MOON
キャラクター原案 - 坂本みねぢ
監督 - 加藤誠
シリーズ構成 - 小太刀右京
キャラクターデザイン - 中井準
サブキャラクターデザイン - 牧野竜一、サトウミチオ
音楽 - 梶浦由記

ここ数日更新が止まっていたのはこれを一気見していたからでした。
元々は『ロード・エルメロイII世の事件簿』というタイトルの、著者:三田誠 氏、イラスト:坂本みねぢ氏によるライトノベルです。
TYPE-MOON作のビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』シリーズのスピンアウト小説であり、同ブランドのオリジナルレーベル「TYPE-MOON BOOKS」より全10巻が発刊されました。

アニメ版は人気エピソードを集めた特別構成となっており、前半が著者の三田誠監修によるオリジナルエピソード、後半が『魔眼蒐集列車』のストーリーで構成されています。

型月苦手人間にロード・エルメロイは見れるのか?

早速なのですが、私はTYPE-MOON作品がかなり苦手です。
設定と世界観の緻密さは尊敬しますが、女性登場キャラクターの大体がツンケンしていて数話すると懐柔され、お着替えやらラッキースケベやらが発生してその度に頬を赤らめる……みたいのが特にダメです。
よく言えばわかりやすい、悪く言えば男性が好きな女性像テンプレートで埋め尽くされている、みたいな所がどうも受け付けないんですね。

※一応付け加えておくと、以前にFate/stay night [Heaven's Feel]の感想記事を上げたように、絶対死ぬほど嫌いってほど嫌いではないです。

じゃあなんで突然見始めたのかっていいますと、家族の勧めでこのアニメのサウンドトラックを聞いたのがきっかけです。
作曲者の梶浦由記さんといえば、ボーカルユニットKalafinaでめざましい活躍をされ、アニメ主題歌を担当してはヒットを飛ばしつつ、現在はソロプロジェクトにて活動されております。
イギリスを舞台にした魔術師がらみのミステリーという、幻想的かつシリアスな世界観を表現されている素晴らしいサウンドトラックでした。

ともあれ、このような明らかに苦手意識のある人間ですが、今作は元が小説で、アニメのほか漫画でも展開されているため、あらかじめいくつか触って内容を確認してみました。本編に比べてミステリー色が濃いということ、また主人公が中年男性(失礼)で、助手の少女も(恐らくは脱力系インテリなⅡ世の存在感を邪魔しないように)引っ込み思案気味ということで、まだ扱える気がしました。件の家族も「気になるの? じゃあ見よう」というノリだったので、挑戦したという次第です。

ウェイバー・ベルベットがロード・エルメロイII世になるまで

ここまでの説明に書いてきたように、アニメは構成が独自のものになっています。
1話では、Ⅱ世となる前の少年、ウェイバー・ベルベットがライネス・エルメロイ・アーチゾルテに拘束されて逆さ吊りにされている場面からスタートします。
ウェイバーベルベットは、Fate/ZeroやFate/stay night本編で描かれる聖杯戦争に参加した経歴があり、その際に色々あってライネスの兄・ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを見殺し同然にしてしまっています。
そのためライネスに拉致され、「お前はロード・エルメロイⅡ世として借金を頑張って返したりしなさい」と命じられる、という場面ですね。

アニメの劇中では、自称親友のメルヴィン・ウェインズとともにバビロンで捕まり、聖杯戦争を通して並々ならぬ思いを抱くこととなったサーヴァント・イスカンダルの遺跡にて事件に巻き込まれます。この話を通して「Ⅱ世はマジでイスカンダルが大好き」ということを理解できますね。

内弟子グレイ、あの顔

Ⅱ世にはグレイという少女の内弟子がいます。やや引っ込み思案で大人しめな彼女が、本作の語り部の役を担っています。
常にフードを被って顔や髪を隠していますが、その顔と髪はいつもの○ルトリアさんの顔だな? 
型月作品にはもの凄い高頻度で出てくる顔の持ち主 みたいな人達がいて、アルトリア・ペンドラゴン(お前が私のマスターかの人)、遠坂凛(黒髪ツインテの人)、英雄王(雑種が!の人)などが値します。
で、今回はアルトリアのパターンですので、相棒の魔術礼装・アッドとともに、ロンゴミニアドという凄い魔術礼装を扱って戦うことができるのです。

ただグレイのちょっと違ったところは、性格がおとなしくて素直、けなげで、闇堕ちしたりしない良い意味の真っ直ぐな人であること。
Fateシリーズの女性は、上で書いたような気が強い人が多いので(「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」内でも、ルヴィアとかオルガマリーとか化野菱理とか)けっこう珍しいタイプなのではないでしょうか?
お陰で割と安心した気持ちでアニメを見続けることができました。

超速解決ミステリー

アニメ1話につき25分という時間しか与えられていないため、
謎解き役のⅡ世が、人が1人死んでから5分くらいすると「謎は全て解けた!」状態になる、超速解決型のミステリーアニメでもあります。
コナンとか金田一とか好きな人の想像する謎解きとはちょっと違いまして、 『Why done it』(ホワイダニット=なぜ、それをやったのか?)を重視して殺人の動機という側面から謎を明かしていき、手法として用いられた魔術について解説していきます。
魔法使いのお話なので、毒薬盛って気付かれないように回収した〜みたいな典型的な手口はあんまりないです。大体はびっくり魔術です。

しかしそれでも、「魔術はこういうもので魔術師はこんな考え方をしていてあの名家にはこういう問題があって」と丁寧に明かされるため、何も知らないはずなのにちゃんと納得し、すっきりと鑑賞することが出来るのが、素晴らしい点だと思います。
「Fate」本編や、スマホゲーム「FGO」等に比べるとやや大人向けでシックなトーンを持った作品ですが、しっかり描写される殺人シーンや権力者同士の確執、豪快なバトルアクションもあり、引き込まれる面白さでした。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集