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読書記録#3 シュガータイム

「シュガータイム」 小川洋子

赤の他人に対して憐憫の情が湧くことがある。
ふとした瞬間の仕草や行動、後ろ姿などを見て、その人のことを哀れに思ったり、何故か悲しく切ない気持ちになる。
そして、そのような感情を抱いたことは、そっと自分の中にしまい込む。
口に出してしまうと、もっとその人が可哀想に、惨めになってしまうから、、、。

この本には、原因不明の、異様なほどの食欲に悩まされる主人公と、病によって年齢に見合わない身長のまま成長してしまう主人公の弟が登場する。

主人公は読んでいるだけでも吐き気を催すほどの量の食べ物を貪る。
主人公の弟は、周囲から好奇の視線を集めてしまうほどに背が低い。

しかし、読んだ後に強く印象に残るのは、それらの"異常"ではなく、主人公の弟の瞬きの美しさであったり、主人公が弟のその美しい瞬きや周囲の人々の姿に唐突に抱いてしまう切なさや哀れみの気持ちである。

日常生活を送る上で時折差し込まれる、自分にすら隠してしまうような、なかったことにしたくなるような感情が、赤裸々に描写されており、それが私に、安心感を与えてくれた。

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