絵の描き方など何も知らないのだけど
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つい先日左目の手術をしたばかりなので、まだ眼帯で覆われたままだ。
片目では距離感がつかめないので日常の動作もままならず、当然新聞や読書、スケッチからも遠ざかることになる。
文字通り、気分も梅雨入りである。
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仕方ないので、この際に放ったらしのまま長年ホコリをかぶっていた昔のスケッチブックを引っ張り出して日干しすることに。
棚の奥から、表紙に「No.1(1998年)」と記しているスケッチブックが出てきた。
中年にさしかかった25年前、ある日突然衝動的に絵を描き始めた頃のスケッチブックだ。
それまで絵など一枚も描いたこともなく、絵に「技法」というものがあることすら知らず、ただ闇雲に描きたいものを自己流で描いていただけの、文字通りの「落書き」のようなものだ。
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初めの頃は、とりあえず身近にあるものを見たままに片っ端からスケッチする、素朴な「写生」だった(…というか、それ以外の描き方を知らなかった)。
好きな食べ物はスケッチの意欲をそそるようだ。しきりに食べ物をスケッチしている(^^)
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やがて自己流にも限界を感じるようになり、次々と教則本などを買ってきて《技法》のようなものを見よう見真似で勉強しながら方向性を探る「模索」期に入った。
「写生(リアリズム)」などには早々と興味を失い、何やら自分の中にうごめく「イメージ」のようなものを描く方向に進み始めた。
やがて、テーマを山や自然に絞るようになったのもこの頃だ。
写実のように見えるかも知れないが写実ではなく、実景に自分のイメージの世界を重ね合わせ、何らかの物語性を孕む絵を描くことに熱中するようになる。
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その後、ずいぶん美術館にも通ったり、たくさんの画集を見たり、美術書も読んでみたりしたけれど、いまだに絵の描き方は分からないままだ。
◆過去のnoteバージョンのスケッチから、後ろ姿の女性像2題