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1.「片働き社会」の制度を改め、「共働き社会」に変身させる!
今の日本の社会は、「片働き社会」の制度のままです。
家庭で一人が家族の稼ぎ手になり、一人が家庭内の担い手になり、役割を分担する。一人が稼ぎのプロになり、もう一人が家庭のプロになる。これが戦後、核家族制度のあり方でした。
これと同時に、会社は、終身雇用、年功序列、高額退職金、若年層は薄給という制度になりました。これにより、人々は忠誠心をもって会社という組織のために働くようになりました。どんな仕事でも、会社の仕事ならやったし、単身赴任も忍んでいくのです。そして、社会は、これに合意してきました。昭和の間、ずっとそうでした。それでライフイベントに対応できたからです。稼ぎに出た父または母の収入は、成長に伴って子供の教育費がかかるときには上がるようになっていました。逆に若い頃は、不当に安い給料で働いてきたのです。「当然」いい年になったら、給料は上がるものだったのです。
これらは、すべて戦前からの制度でもあり、もっと言えば、江戸時代の制度を元に引き継いだものです。日本では、国家を一新することはなく、ついては受け継ぐべきものを受け継ぎ、使えるものは使ってきたのです。
しかし、日本は、このままでは立ち行かなくなったのです。日本には、稼ぎ手が不足し、日本人がいなくなりそうだからです。もとより、私たちの生活は、日本という枠組みによって成り立っています。
この枠組みが土台から崩れようとしているのが今。そして、この危機に対して、なんの効果的な対策も打ち出せていないのが今です。
根底から変えるべきことならば、根底から変える以外の方法はありません。まず、このことに社会的に合意しなければならないのではないでしょうか?
日本は、働き手を増やすために、「共働き社会」に移行するのです。また、日本人を増やすために、「幸せな共働き家庭」がイメージできるようにするのです。そして、そのために制度を変えるのです。
社会については、終身雇用、年功序列、高額退職金、若年層は薄給という制度を廃止する必要があります。この制度のままでもやっていけるならやめる必要はないのですが、この制度のためにお金が使われていて、若者にお金が回らないから、やめるしかないのです。高額退職金制度を廃止して、その都度若い社員も含めてみんなで利益を分ければ、若年層の手取りは自ずと増えます。年配の社員も当然それなりの働きをすれば収入が増えます。今の年配者の高額給料や高額退職金がダメなのは、その理由が制度によるものであって、本人の働きによるものでなくてもそうなっていることです。働きに見合った収入を得るのは当然のことで、それをやめる話ではありません。この案を実行する意味は、「片働き社会」の制度をやめて、取るべき人に取るべき給料を出す、ということです。
そのためには、期日を決めて、すべての企業でジョブ型雇用に転換しなければなりません。企業という組織に忠誠を誓う雇用ではなく、私の仕事と顧客に忠誠を誓う雇用に転換するのです。
これにより、正規、非正規の別は無くなります。一時的に現職優位になります。技術も経験もない人はリスキリングしなければ希望の仕事をなくします。企業は軽くなり、年齢にかかわらず優れた労働者の収入は増えます。が、一方で、一生一社で安定した生活を送るということは原則としてなくなります。仕事別の雇用なので、定期昇給はなくなります。新卒一括採用もなくなります。転職が普通になり、辞めやすく、採用されやすくなります。産休・育休明けの再就職はとてもしやすくなります。転職の空白期間は一定の期限を設けて国が生活保障をします。
さらに、夫婦に子供ができた産休・育休の3年間、子供の父母のどちらかを日本で一番手厚い産休・育休制度を持っている地方公務員として雇用し、一定の研修と一定の社会福祉、医療、教育、エッセンシャルワークに従事することを選択的に可能にします。そうすることで、年間10兆円かかりますが、これによる教育、医療、福祉、警察など別予算の削減と、教育の質向上、健康状態の改善、地域社会の安定などの社会効果は倍額の20兆円になります。
2012年から始まった労働力不足解消の施策で、300万人の母親が社会に出ました。しかしこの施策は、その300万家庭をどうするか、何もビジョンがないまま進められたのです。後から「働き方改革」など始めましたが的外れなことが多く、それからの12年間、家庭は機能不全に陥ったまま一向に改善していません。
しかし、地方公務員として雇用する施策によれば、一般的な福祉も教育も、医療が必要な福祉や教育も改善します。老人と地域とのつながりを回復させ、存在意義や生きがいを取り戻す機会を提供したり、相互支援のような子供の環境整備をしたり、生命と生活の活力を取り戻すことができます。
子供が3歳まで親が近くにいることと、みんなで議論し、目標を定めたオープンで活力のある研修・講習の機会を提供することで、日本人を日本人として高め、心の弱さや人間関係の問題、医療上の問題に早期に対応し、不登校、いじめ等の問題から解放できる可能性が、根本的に高くなります。
「共働き社会に変身する日本」。それは簡単ではありませんが、やらなければ、自動的に消滅に向かうのです。できるかできないかではなく、やるかやらないかの選択、意思決定の問題として考えていきましょう。
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