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「サニー・スポット」第10回

 ここまでは、二人の経過説明に食い違いはほぼない。だが、その後の展開については岸場が詳述したのに対して、高藤はプライバシーに関することだから話したくないが、セクハラに当たることはしていないと主張し、多くを語ろうとしなかった。だが、岸場によれば、それ以後さらに次のようなことがあったという。

 その年の暮れ、バルカン半島のモンテネグロを舞台に格差社会を描いた話題作を巡って、スターバックスでの作品論が白熱し、二人はさらに地下鉄で中心街に出て夕食を取りながら映画論に花を咲かせた。その時は高藤がビール、岸場がワインを飲んだ。二人だけになった帰りのエレベーターの中で、少し酔ってよろけた岸場を高藤が支え、ごく自然に一瞬唇を合わせた。その後二人は無言のまま、それぞれの帰途についた。

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