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【映画感想】仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド【ネタバレ有り】

パラダイス・ロストの対比としてのリゲインド


平成仮面ライダー4作目「555」放送から20年記念して作られた作品。555の映画には、2003年当時制作の「パラダイス・ロスト」がある。ロスト(失う)に対してリゲインド(取り戻す)というタイトルになっていることからも分かるが、いくつか対照的な作品となっている。



設定面でいくつかの違いがあり、最も分かりやすいところでは、オルフェノクが支配者となり人間を迫害していたロストに対して、リゲインドは人間が支配者でありオルフェノクのことを認知し、殲滅に乗り出している。園田真理(芳賀優里亜)は草加雅人(村上幸平)とともにクリーニング店「西洋洗濯舗 菊池クリーニング店」を経営しながらオルフェノクの庇護を行っていた。

正直この点で、勘のいいファンは違和感を感じたかも。「えっ、草加がオルフェノクを守るの!?」と。その懸念は当たる。実は草加の正体は政府が作っていたアンドロイドであり、真理の信用を得る一方で真理のオルフェノクの記号が暴走した際には速やかに始末するという任務を与えられていたのだ……!

事実です。一見トンチキな設定ですが、個人的にはとてもファンサービスを感じる設定なんですよこれ。本編だと草加は死んでいます。そして草加が味方のようで実は独自の考えを持っていて、それを優先する。このムーブは本家そのものですよね。とはいえ設定を考えると草加の人格を模擬してたでしょうから、草加も丸くなるのかもしれない。

その流れをやや強引ですが再現してくださった製作陣や脚本には頭が下がります。正体を現して裏切ったシーンは私含め会場に笑顔があふれてました。(マジで)

お前ーっ!

たっくんと真理が…

そして本作おそらく最大の衝撃展開。たっくんと真理が結ばれるシーン。え!!?

555におけるたっくんと真理は半田さんが公式パンフでもう言ってた通り、不思議な関係なんですね。

「友人」と言うには軽すぎるけど、恋愛関係というのもまた違う。絶妙なバランス、距離感を維持しているところが、2人の良さだと思うんです。(中略)新作の中で真理のことや、真理と匠の関係がどのように描かれるかというのは、作品の生命線だと思った。

こういう風に作品やファンを制作陣が尊重しながら、それでも踏み込んで巧と真理の関係を進め、新しい555を魅せてくれました。まさしく夢の続き(?)度胸有りすぎ。

個人的には感謝しかない展開でした。この作品では真理も巧もめちゃくちゃ追い込まれるんですね。お互いが「どん底」の状態にまで落ちた時、二人は最後に求めあう、助けを求める関係にあるんだというのがとても自然なように思えました。

全体を通して、細かいところで気になる点や、「予算…」と思う点がないでもないんですが、勢いで押し切られました。555って本編からしてそんな感じだったので、一緒に観に行った友達と「555らしかったね(笑)」と笑いあいました。あと劇場版ゲストヒロインが可愛かったのも◎。

散々ネタバレ書いといてなんですが、ファンなら行くべき。ありがとう555制作陣。ありがとう井上敏樹先生。


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