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狙撃者再び
四十肩だか五十肩だか、もう還暦を過ぎているのだから本当は六十肩なのだが、とにかく2年ぶりに肩痛が再発した。
経験した諸氏にはご存知のことと思うが、これはとにかく痛い。
例えば友人の夫君は、ある日、駅のホームで荷物を持とうとしたはずみに発症したらしく、あまりの痛みにその場にうずくまってしまったという。
友人は、肩を押さえたままピクリとも動かない夫の、あまりに尋常でない様子に動揺し、「これは何者かに狙撃されたに違いない」と救急車を呼ぼうとしたらしい。
そんなゴルゴ13みたいな凄腕の狙撃手が、なんでお前の旦那を狙うのだという話だが、とにかくそれくらいの痛がり方だったのは間違いない。
一方、わたしの肩痛は、最初左肩、すぐに右肩にも症状が出て、腕がある高さ、ある角度にかかると、思わず声が出そうな激痛に見舞われるといったものだった。
あまり辛いので、鍼を打ったり、痛み止めを使ったり、少し遠くの評判の良い医者にもかかったのだが、なかなか劇的な回復というわけにはいかなかった。
ほどなく医者には通わなくなったし、完治まで1年ほどかかってしまったが、結局何が効いたということではなく、ただ時間が解決したのである。
しかしまぁ、そういった症状の進行は、実は予想できていたものだった。
ネットで色々調べた結果、要するに四十肩は、「原因不明、確実な治療法なし、数ヶ月から2年くらいで自然治癒」というのがだいたいお決まりのコースらしいからだ。
そして、そのコースの最後に、「しばしば再発する」とあって、どうやら今回のことも仕方のない運命みたいなものだ。
なので先日、再びの痛みを感じた時、諦めのような気持ちでこれを受け入れたのだった。
思えばこうして、不自由なこと、不調なことは年を経るごとに増えてきて、その度にそれに慣れ、飼い慣らしてきた。
幸いにも覚悟があるというだけで、とにかく一度目より二度目、明らかに前回より対処力が高まっているのは間違いない。
痛みも前と変わらないが、なんだろう、また1年すれば治るさという展望で、前回ほどの辛さを感じないようである。
それが歳をとるということなのだろう。
ただ痛いは痛いので、ゴルゴに撃たれるのはこれきりにしてほしいものだ。