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40代膵臓がんサバイバーです [10]

〜前回のあらすじ〜
クリスマス前の退院を目標に、日々の検査やリハビリにに勤しむ。入院生活は早くも4週目を過ぎていた。


いよいよ明日は退院!

とうとう待ち望んでいたこの時がやってきました!このまま順調であれば、当初の予定通り、クリスマスには退院できる!と、朝からワクワクが止まりませんでした。
さらに、今日は職場の友人がお見舞いに来てくれるとのことで、気分はすでに退院モードです。明日に備えてここ数日は、何となく片付けをしつつ、指折り数えて退院を楽しみにしていました。

午前9時すぎの時点で、体調は特に問題無さそうだったので、改めて職場の友人に連絡。午後からお見舞いに来てくれました。

久々にあった友人達は、すっかり痩せてしまった姿を見て、少しびっくりしているようでした。当然ですね。自分自身でもびっくりしますからね(笑)
とはいえ、すぐに今の職場の様子や普段の話などで、あっという間に時間が過ぎて、お別れの時間に。
後は夕飯までのんびりして、今日が終わればいよいよ…という感じでした。


ところがどっこい

晩御飯を食べる頃に家族がお見舞いに来て、明日の退院時間や手続きの話などをしていました。そして、話をしている時にふと「何だか臭いな」と思い始めました。何となく自分のお腹の辺りを見ると、パジャマの腹の部分がぐっしょり濡れていました。臭いはそこからしてくるようでした。慌ててパジャマをめくると、腹部のガーゼがびっしょり。掛けていた布団も汚れています。びっくりして、すぐにナースコールを押しました。

すぐに看護師さんが来てくれて、事情を話すと、「このままだと良くないので先生を呼びますね」と言い、先生に連絡してくださいました。
すっかり【明日は退院】と気が抜けきっていた自分にとっては、まさにちゃぶ台返しの出来事で、軽くパニックになっていました。
そんな様子を察してか、看護師さんは、優しくもあり落ち着いた対応で、傷口を押さえつつ、テキパキと対応してくださいました。家族も看護師さんに指示を出してもらい、先生が来るまでの間、一緒に対応してくれました。
仕事帰りにこれじゃぁ、ほんとドッキリみたいな話ですよね(笑)。


〜からの緊急手術

間も無くして先生が来て状況を説明してくださいました。
どうやら傷口が感染しているようで、すぐに処置をする必要があること、これは術後の症状として想定されているもの(全く予想外の出来事ではない)、と説明してくださいました。そして、緊急に措置が必要だと言われ、処置室へ。

処置室では担当の先生2人と映像診断の技師さんが1人、すでにスタンバイしていました。局部麻酔をかけ、傷部分の処置を始めます。
映像診断の技師さんが画像を見ながら部位を先生に指示し、先生が処置するという、まるでケルベロスのような三位一体処置でした。
麻酔がかかっているとはいえ局部で、かつ意識があるせいか、そりゃあもう、痛い痛い!
子供の頃に見た「ランボー」という映画で、主人公がジャングルで自分の腕を縫合しているシーンを思い出して、余計ギャーギャー言ってました(笑)。なんなら十二指腸の手術よりある意味しんどかったです(笑)。


病室への生還

見事なケルベロス戦法のおかげで無事に処置も終わり、病室へ無事に帰還。
病室で先生から説明がありましたが、ランボー並の体験がショック過ぎて、全くうわの空でした。とにかく「明日は退院できない」ということだけが、はっきりと認識できました。

自分の体調の変化に気づけてなかったな…と思ったのですが、よくよく考えたら、数日前から何だか臭い匂いは感じていたし、なぜか術後、ずっと背筋が伸ばせないで、異常に折り曲がって歩いていました。
腹部の手術なので、もちろんいきなりシャキッと背筋を伸ばせないにしろ、なんか変だな?と自分でも思っていました。

病人が臭うのは仕方ないことだと、今まであまり考えていませんでしたが、病人が発する臭いや体の姿勢も、大事な体調センサーなんですね。

と、ブツブツ考えていたら、先ほどの看護師さんが、ペットのワンちゃんの写真を持ってきて、談笑して気持ちをほぐしてくださいました。おかげさまで自分の気持ちも、ジャングルから現代へ、無事に生還することができたのでした。



…しかし、退院は一体いつになるのやら....トホホ…。



つづく






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