シングルかあさん〜子宮頚がん・HPVヒトパピローマ検査④
HPV検査の結果は二週間後に。
結果が"陽性"ならば三ヶ月後、“陰性"ならば一年後に再検診が必要。
どっちにしろ再検診には変わりはない。
かあさんは自覚症状なし。
でも、からだの中では前ガン病変が顔を出し、子宮頚菅にはポリープもできていた。
外見ならともかく、からだの内部までは自覚症状がない限り、知ることはできないだろう。
「検査結果は"陰性"です。
では一年後にまた検査しましょうね」
女医さんはいつもの通り笑顔でそう言った。
一気に肩の力がぬける。
手帳をみて来年のカレンダーを確認した。
大病院はいつだって混んでいる。
その日もすでに予約の時間はとっくに過ぎていた。50分待ち、診察時間わずか10分。
だけど、イライラなんてしない。
だって"陰性"だったから…それだけで十分。
待合室では、かあさんと同じ年代の女性が、何人も座って待っていた。ここで診察を受けるということは、何らかの検査や疾病、治療の必要がある人だ。
皆それぞれ、家族やこどもがいるのだろうか。親の介護や仕事があるのかもしれない。
待っている人たちの姿と、かあさん自身が重なる。
すぐに坊ちゃんの顔が浮かび、検査結果をLINEする。いつもは既読がなかなかつかないのに、その日は珍しくすぐ返信がきた。
"👍"
素早い返信。そしてこのスタンプ。
少し笑ってしまった。
HPV結果は"陰性"だったが、病変(CIN1軽度異形成)は体内に残っている。
一年後は、かあさんのからだは一体どうなっているんだろう。