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8000億円稼いだピカソに学ぶ、成功の秘訣
芸術の世界には、時代を超えて語り継がれる天才がいます。例えば、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホとパブロ・ピカソ。どちらも不朽の名声を誇り、現代のアートシーンにも多大な影響を与えました。
しかし同じ天才であっても、彼らが歩んだ人生はまったく別のものでした。ピカソは10代のころから高い評価を受けており、画家として名声を手にしました。没後には約8000億円もの遺産を残したとも言われています。
一方でゴッホは、非常に貧しかったと言われています。ゴッホが評価されたのは没後しばらく経ってからで、存命中は誰からも評価されない無名の画家でした。
同じ「絵画の天才」でありながら、ピカソは富と名声を手にし、ゴッホは孤独と極貧の中で自ら命を絶った。なぜ彼らはこんなにも違う運命をたどったのでしょうか?
その答えは「価値を伝えること」にあります。
ゴッホ-栄光の前に訪れた孤独と苦悩
ゴッホは今でこそ天才画家の一人として、不動の地位を築いています。
しかしゴッホの生活は天才画家とはかけ離れたものでした。
実際にゴッホは生涯に2000点以上の作品を残しましたが、生前に売れた作品はわずか1点だけです。もちろん経済的に豊かな生活はできません。
弟のテオがずっと仕送りをしてくれて、れで何とか生活ができていたそうです。
自分の才能・表現が誰からも評価されない苦悩。弟テオに負担をかけ続けている心労。そんな背景もあって、37歳という若さで自ら命を絶ちました。
ゴッホは、名声を手に入れる前に命を失ったという、悲運な人生をたどった画家でした。
ピカソ-栄光を手に入れた2つの才能
一方で、ピカソはゴッホと違い、生前から名声を博していました。
実際にピカソが生きている間に、多くの彼の作品が高値で取引されています。
また没後には8000億円に上る遺産を残したと言われています。
もちろんゴッホもピカソも、同じ天才と評価されている画家です。
では彼らの命運を分けた分岐点はなんだったのか。
ピカソにあって、ゴッホに無かったものー
それは「価値を伝える力」です。
「ストーリーを語る力」と言い換えてもいいかもしれません。
実際にゴッホはコミュニケーションがあまり得意ではなかったと言われています。兄弟や友人との意思疎通も上手くいかず、かなり苦しんだそうです。
実際にその影響で学校を中退したり、失恋を繰り返したり、画商や伝道師の仕事をしたもののクビになってしまうなど、苦難の連続でした。
一方でピカソはコミュニケーション巧者で、マーケティングの天才でもありました。
マーケティングに長けたピカソ
ピカソは作品をただの作品として売ろうとはしませんでした。彼は、「ストーリー」も自身の作品の一部として、売り込んでいったのです。
画商と強いネットワークを築いていた彼は、展覧会を開き作品の背後にあるストーリーを語ることで、作品に付加価値をつけていったのです。
それを象徴するエピソードもあります。
ある日、ピカソがレストランに行くと、スタッフが「絵を描いてください」と頼みました。すると、ピカソはナプキンにササっと絵を描き、100万円の値をつけたそうです。
驚いたスタッフは「どうしてたった30秒で描いた絵に、こんなにも高い値段がつくんですか?」と尋ねると、ピカソはこう答えました。
「この絵は30秒で描かれたわけじゃない。40年と30秒かけて描いた絵なんだ。」
このセリフには、ピカソが持っていた「ストーリーを語る力」のエッセンスが詰まっていると思います。
絵そのものの価値ではなく、その背後にある長年の経験と努力を「ストーリー」として連想させる。ピカソが成功した理由はここにあると思います。
「才能」ではなく「価値の伝え方」
ゴッホとピカソの違いは「才能の有無」ではありません。
価値を伝える工夫と努力の差だと言えます。
ピカソは作品(商品)に対して、その背景にあるストーリーを巧みに語り、
作品に付加価値を生み出しました。成功を収めるためには、成果そのものだけでなく、その背景を伝えることが欠かせない。
挑戦を重ねて成長し、ブランド化することで価値を最大化する。
これがピカソの成功に隠されたポイントだと言えます。