
介護をしている全ての人へ#117 ~ 休暇終了
日記には父が病院から帰ってきた。自分にとっての疫病神が舞い戻ってきたかのように、恨み節が綴られてる。
2019年4月26日(土) 母の日記
今日は寒い。
夫、退院。長男と中央病院へ。
ナースステーションに退院の挨拶にいくと、夜、便の失敗があったと言われた。病室に着くと、同室の患者さんたちから、臭くてたまらないから早く汚れ物を処理するように言われる。
退院の支度をしているうちにまた粗相した由。当の本人は、他人事のように平然としていた。多くは期待していなくても、汚れ物を身に着けたまま平気でいられる神経をうたがう。長男は表情を硬くしてナースステーションに清掃用具や清拭用品をもらいにいった。
今日からまたこれが日常になる。短い休暇は終わった。
疲れたらしく、夕食も食べずに寝てしまった。
夕食は長男と龍鳳へ。私は「味噌ラーメン」、息子は「担々麺」に「半チャーハン」を注文したが、息子に供されたのは「たんめん」。
店主はすぐに作り直すと言っていたが、息子はこれでいいと言って食べていた。
「ぼくの人生は、担々麺一杯たべることもままならない…」とぼやいていた。
2019年4月27日(土) 私の日記
午前中、父退院。中央病院9:30
病室に迎えに行くと早速うんこ攻撃。悪びれる様子もなく、糞まみれでベッドに座っていた。
経済的に余裕があったら、明日にでも施設にあずけたい。
病院で、清拭セットを借りて、汚れ物をビニール袋に入れて帰宅。庭に置いた父用の洗濯機で洗濯。大人の便は慣れない。すい臓の働きが悪くなっている父の便は油分が多いし臭いも強烈。気が遠くなるような苦行。父の下半身を拭き清めるのはすごく嫌。
午前中の大騒ぎで午後はぐったり。がっこちゃんからお誘いがあったが断ってしまった。ケーキバイキングを楽しむ気にはなれない。
夕食は近所の中華。担々麺と半チャーハンのセットを注文したが、出てきたのはタンメン。ままならない人生ってこんなもんだろうか。愚痴っても仕方ないが、声に出していってみた。
日記を書きながら進学も、就職も、恋愛も、父の借金、両親同時のがん罹患……。
父がまっとうな人間だったら、高校を出てアルバイトして学資をためることも無かっただろうし、景気のいい時に景気のいい会社に就職していたかもしれないし…いろいろ変わっていたかもしれないと思う。こんなことを考えても意味はないが、自分が恨めしい。
とことんツキに見放された人生を呪う。明日は神社にでも行ってみよう。