#1 BLUEBERRY PASTA

ある夏の午後、PC作業に疲労した体を抱え、私は帰宅した。今日は外で食べて帰ろうかなぁ、と思いながらも、絶対にこれが食べたいという何かが思い浮かぶわけでもない。やっぱり、おうちにあるもので手軽に何かを作って食べようと意思決定した。しかし、ちょっと自分をワクワクさせてくれる何かが作りたい気持ちもあった。

「さて、何を作ろうか」
家にあったのは、父親が作っていたトマトソース。

そして、ブルーベリーのジャムが台所の隅にひっそりと佇んでいる。
農園で手作りされたもので、フレッシュな香りが心地よい。

トマトとブルーベリー、これらが合わさったらどうなるんだろう。
太陽のような赤と弾けるビタミンカラー紫。酸味と甘味。
組み合わせを想像したら、なんだかワクワクしてきた。

農園で手作りされたブルーベリージャム。
父親がたまたま作っていたトマトソース。
使い切りたかったオリーブの酢漬け。

私は早速冷凍してあった生パスタを茹で、トマトソースを絡める。
その上には贅沢にブルーベリージャムを３スプーンと、オリーブを。

ブルーベリージャムとトマトソース、パスタをくるくると絡め、口に運ぶ。後からオリーブも遅れて口の中で集合。なんて豊かな味なんだろう。
偶然重なった素材たちが、甘い、酸っぱい、しょっぱいの新たな世界を教えてくれた。

酸味は正義なのか。
つみたてのブルーベリーをむしゃむしゃと口に放り込む時間は何より幸せだけれど、こうやって料理に合わせるのもまた美しい。

みんなに試してほしい。そんな気持ちで、この料理をもう一度、気持ち丁寧に作る。
まずは、トマトソースを拵えるところから。