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【本のハナシ】印象的なくだりを何度でも読みたい『暇と退屈の倫理学』
だいぶ昔に書店でジャケ買いをした本。
ジャケというか帯買いです。
オードリーの若林さんが言葉があり
それに惹かれて、即レジに持って行った本です。
もう帯が手元にないのですが
「哲学書で涙するとは・・・」
のような文言で、印象的でした。
また最近読み直しをしたもので
読書ノートにまとめをしました。
まとめと言っても
簡潔にまとまるような話ではないのですが
印象に残った点などをつらつらと。
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本は、読み始めた瞬間に
自分と合うか合わないかが、すぐにわかりませんか。
なんか鼻につくなーというタイプの文体もあれば
とても波長が合う!と思う文体もある。
もちろんわたしとだけの相性であり
文体は合わなくても読み進めれば納得することも多々。
内容が面白ければ、文体が苦手でも読み切れます。
この本は文体も好きで、内容も好きです。
ぐんぐんと理解ができる感じが面白いし
とても納得できるくだりがいくつもある。
そういう流れを読み込むのがとても楽しい。
私は残念ながら
読んだ本を忘れちゃうタイプですが
その本の中の印象的なくだりは覚えていて
この本だとフォードの労働者への扱いの話や
労働のための休暇になる話など
面白い!と思ったところは記憶に残っている。
他にも昔の人間は移動する生活だったから
今の定住している生活が馴染まないのは当たり前で
排泄や片付け等が苦手なのは当然のこと(意訳ですが)など
なるほど!とすごく納得できた部分はとても残る。
そうすると再読するときにそのくだりがくると
これこれ、キタキタ状態になって
さらに楽しんで本が読めます。
だから何度読んだって楽しめる。
折々で読んでいきたいなーという本の一つです。
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人間の生活や嗜好が今こうなっている経緯を
歴史とともに知ることはとても面白いです。
今ある全部のことが過渡期で
今時点の常識が変わっていく未来が存在するんだなと。
この本の中で
「退屈もそれなりにあるが
楽しさもそれなりにあるのが、人間らしい生」で
そんな中で楽しさで「とりさらわれる瞬間を待ち構えている」
とありました。
私の生活の中で
とりさらわれるという感覚があることを考えると
やはり手帳であったり、本であったり。
最近この感覚を手に入れたよなーと思う。
消費する楽しさだけでなく
とりさらわれる楽しさを見つけられたことは
退屈である人生に
少し向き合えるようになったのかな。
「食のような日常的な楽しみに
より深い享受の可能性がある」ともあって
ここ数年で書店にたくさん並ぶようになった
生活を丁寧に暮らす系の本を思い浮かべる。
人生は暇つぶしで、退屈であるが故に
日常的な生活を楽しむことはバカにはできないなと
改めて思いました。