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自己覚知のアプローチは念入りに

前回の話と少し似通った話ですが、もう少し具体的な部分の話です。
紛らわしかったらごめんなさい。
 


 
 
支援をする上で、折に触れて面談や対話を繰り返しながら僕らはご本人のことを理解しようとします。
その中でしばしば感じていることがあります。
「自己覚知」というやつです。
 

ご本人の認識度を確かめる上でも、「どんな時にしんどさを感じるのか」「何がきっかけになることが多いのか」「その時にどういう状態になるのか」「自分なりの対策を持っているのか」を聴きます。
 
 
ところがこれに明確に答えられる方は割と少なかったりします。経験上。
 
 
自分を「知らない」事がしんどさに繋がっている、しかも自分を知らないからこそ何が生きづらさになってるのか分からなくて、よりそれが加速する、というサイクルがあるんだと思います。
 
 
自分の状態が分からないで、急に波が来るってすごく不安だろうし、いつもなんかビクビクしちゃうんじゃないかなぁ、と思うので、一緒に整理をしながら本人のしんどさの姿を明らかにするようにしています。
 
 
時間は少々かかりますが、丁寧に起点(きっかけ)と要素(何をしんどさと捉えてるか)、状態(心境とか感覚)と自己対処を聞いていくと、今まで漠然としてたものが絞り込まれていきます。
 
 
僕らは医者でもなければ魔法使いでもないので、治療が出来るわけでもないし、基本的にタネも仕掛けもある事しか出来ないので、抽象化されて一見よく分からない「しんどさ」を分かるカタチにまで具象化して、「あぁ、これだ!」っていう歩幅合わせみたいな事をご本人とやらなきゃ、僕らの支援も当てずっぽうの押し付けになりかねないので。
 
 
でも、そうやってしんどさの正体みたいなものがご本人に分かってくると、回避する策や「来るぞー」と思って構える事、攻略する事や乗り越える事の選択肢ができるんじゃないかな、と思うんです。
自分がどうなってるのかも分からない不安感は少なくとも減って、「じゃあどうしたらいいのか」の方へ気持ちを向かわせる事が出来ます。
 
 
しんどくなった時に対処を考えるのはそりゃ難しいですから。
 
 
僕らはご本人のしんどさを代わることは出来ません。
あと無責任な優しさで擁護する事も出来ません。
 
 
冷たいのかも知れないけど、僕らの役割は「背負ってあげる」事や「いつでも問題を取り除いてあげる」事でもなく、自分で背負う力をお渡しする事だと思っているので、だからこそ自分の事をまず自分が知る、という事の重要性を大事にあつかっていかなきゃいけないな、と思います。
 
 
「自己覚知へのアプローチ」って意外とそんなに深くなされていないんじゃないだろうか、と危惧したもので、書いてみました。

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