『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』 第15話
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第2章 押し入れにひそむ多佳子8 押し入れにひそむ多佳子
しきりに押し入れを気にする妻に、利蔵は訝しんで愛撫の手をとめた。
「どうしましたか?」
問いかけると、妻は押し入れに視線を据えたまま唇を震わせている。
「押し入れが開いて、誰かが」
「誰か?」
「誰かが、こちらを覗いている気配が」
「まさか」
「ほんとうです!」
そんなはずはないと、利蔵は妻の髪をなで、安心させるようにひたいに口づけを落とす。それでも、やはり妻は押し入れを見つめたまま、顔を