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『光る君へ』で「チーム道長」が栄華を極める理由が、この相関図でわかる!

NHKの大河ドラマ『光る君へ』も9月に入って盛り上がってきました。「式部誕生」ということで、主人公のまひろ=紫式部が、いよいよ『源氏物語』を書き始めます。

このドラマに関して、私が最初に人物相関図をNOTEにアップしたのが2月13日のことでした。こちらです。

あれから半年以上が経過し、亡くなった登場人物も多く、また新たに登場してこられた方々も多く、この相関図をアップデートしなければと思っておりました。あまり遅くなると意味がなくなるので、急いでアップしようと思います。

まず、お断りしなければならないのは、この新たな相関図は史実を元に、一条天皇より少し先の部分まで入れています。ドラマの進展よりも先のことは知りたくないという方はご注意下さい。

大河ドラマですでに登場した人物以外に、これから登場する可能性のある人物や出来事を、史実を元に少し先まで入れ込んであります。大河ドラマにはいずれ最終回がくるので、それがどの時点までカバーしているのかは知りませんが、多少先の未来がわかってしまうので、それをご了解の上読み進めていただければと思います。

今回、この相関図を作り直してみたポイントを列挙させていただきますと次のようになります。
1)相関図の中心を主人公のまひろではなく道長にして整理してみました。
2)一番上の段を帝(天皇)にし、その下に別の段で中宮、東宮を入れ、帝との間に生まれた親王名を記載しました。
3)婚姻関係を赤の実線で、親子の繫りをオレンジ色の実線で示しました。
4)道長の子供が沢山いるので、「道長長男」とか「道長長女」とかを赤い四角で記載しました。
5)登場人物に関連のある文学作品を紫色の四角で記載しました。
6)すでに死去した人物や、本筋に関連がない人物は削除させていただきました。
7)全体の美的バランスを顧慮してレイアウトし、人物の大きさはメリハリをつけさせていただきました。

こんな感じでできた相関図がこちらです。

『光る君へ』相関図(2024年9月以降)

これを作ってみて、あらためて「チーム道長」といえる存在の凄さを実感しましたので、この相関図の解説とともに、「チーム道長」について、そして道長が栄華を極めた理由についてまとめてみたいと思います。

WHAT IS「チーム道長」?そのメンバーは誰?

道長の父親の兼家や、兄の道隆、道兼、姉の詮子(あきこ)など皆さんアグレッシブで、上昇志向が山盛りでしたが、それに比べて道長は、ちょっとおっとりしておりました。また最初から戦略的思考があったわけではなく、周りの力で結果的にそのようになってしまったということです。その結果として、相関図を眺めてみると、道長が見事なまでに盤石のチームを作っていたというのがわかります。

まずは、こちらをご覧ください。

道長を支えた3つの力

道長の正妻は倫子(ともこ)ですが、左大臣・源雅信の娘で財力には恵まれていました。当時も今も、政治の世界で頭角を現していくためには財力は必要ですね。

そしてもう一人の妻(妾)として存在するのが明子(あきこ)です。父親が失脚したり不遇だったのですが、血筋としては「皇籍」となっています。

財力と血縁(血統)の両方を持つことになった道長ですが、この二人に足りないのが知性(教養)です。そこを補うのが他ならぬ紫式部(まひろ)なんですね。

ドラマの中では、倫子も明子も、道長の愛情の対象とは言い難く、冷めた事務的な関係のように見受けられます(でも子供はしっかりと沢山作りますが)。愛情の対象は、あくまでもまひろのようです。

結果的には、道長は、財力、血縁、知力の三拍子を手にいれてしまいます。これが揃うとチームとしては最強ですね。本人は意識していなかったかもしれませんが、自分の周りをこんなチームで固めてしまいます。

さらに、チームの構成メンバーとしては、子供たち(とくにキープレーヤーとなるのが長女の彰子)、そして公任(きんとう)や、斉信(ただのぶ)、行成(ゆきなり)ら気心の知れた幼馴染が出世して、道長をサポートするという立場にいるという事実。このへんまできちっと揃っていると最強のチームになりますね。

キングメーカーとしての道長

「キングメーカー」という言葉がありますが、道長はこれを比喩的な意味ではなく、物理的な意味で実現した人物になります。帝なので「エンペラーメーカー」というべきかもしれませんが。

自分の長女の彰子(あきこ)を一条天皇の中宮にし、その子、敦成親王が第68代天皇の後一条天皇に、敦良親王が第69代天皇の後朱雀天皇となっていきます。さらに道長の次女を67代の三条天皇に入内させ、四女を後一条天皇に、六女を御朱雀天皇に入内させます。

自分の娘を次々と入内させていく道長

天皇家を道長が乗っ取っていくような動きです。後一条天皇や、後朱雀天皇は道長の孫となるわけですが、そこに自分の娘を嫁がせる、またその二人の天皇からすると、自分たちの結婚相手が叔母さんということになって、考えただけでも頭がくらくらしそうです。これは今でいう近親婚になってしまいますが、当時は大丈夫だったんでしょうね。なんかすごい世界です。

長生きだったチームメンバー

道長は62才で生涯を閉じますが、当時としては長く生きたのではないでしょうか?疫病もあったし、兄たちも若くして亡くなっていました。一時、過労で倒れることもありましたが、何とか62まで生きたんですね。

倫子(ともこ)も、明子(あきこ)も、長女の彰子(あきこ)も80代まで生きています。当時としては驚くべき年齢です。この3人の女性が長生きして、道長の権力の基盤を盤石にしていたのは容易に想像できます。

長生きすることは大事ですね。

『源氏物語』のプロデューサーとしての道長

政治的に平安の黄金期を作っただけでなく、道長は「源氏物語」をもプロデュースしていました。道長がいなかったら、『源氏物語』をまひろが書くこともなかったかもしれません。道長には、面白い物語を利用して帝が彰子のところにやってくるように仕向けたいという作戦があったのですが、その作戦を道長が思いつかなかったら、この物語は生まれなかったでしょう。

また、『源氏物語』を書くにあたって、一条天皇のいろんな情報をまひろに伝えてヒントとさせたのも重要ですし、出来上がった作品を天皇のところに直々に持っていったという功績もあります。その前に、大量の越前和紙がなければ長い物語も書けなかったでしょう。道長は見事な編集者というか、プロデューサーだったのです。

『源氏物語』を道長は、一条天皇と彰子を繋ぐための画期的なデバイスとして利用し、それが見事功を奏し、その結果、道長の栄華が永続するきっかけとなるわけですが、そういう意味では、『源氏物語』は単に物語としてではなく、道長の未来を作り出すための製造装置でもあったのです。

『源氏物語』は、世界最古の小説として、日本文学を代表する名作として評価され、現代の私たちにまで影響を与えていることを考えると、NHKがその誕生を映像化してくれたことに感謝せざるを得ません。民放にはこのような優れた作品を作りだす企画力も資金力もないので、NHKは決してぶっ壊してはならないと思います(笑)。

このドラマの中で、清少納言や、和泉式部、赤染衛門、道綱母など学校の古典の授業で出てきた人々がリアルな形で登場してきたというのも素晴らしいことです。当時の建築や、衣装や、さまざまな調度品が再現されたこともとてもありがたいです。文字だけでは想像できないことも多いですからね。

また、ドラマでは描かれるかわかりませんが、道長の長男の頼通(よりみち)が、宇治の平等院を建造し、世界遺産になるこを考えると、道長が残したものの偉大さを感じざるをえません。

道長が残した遺産は、平安という時代に限られたものではなく、時空を超えて、現代にも、そしてグローバルにも輝きを失っていないと、この相関図を眺めながら感じるのでした。


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