「新しい世界を生きるための14のSF」で気に入った作品について
ネタバレ注意です。
伴名練さんが選んだ14のSFの中で僕が良いなと感じた作品は
・回樹(斜線堂有紀)
・もしもぼくらが生まれていたら(宮西建礼)
・九月某日の誓い(芦沢央)
・くすんだ言語(黒石迩守)
・ショッピング・エクスプロージョン(天沢時生)
・無脊椎動物の想像力と創造性について(坂永雄一)
です。
一つずつ短めの感想を述べていきます。
回樹(斜線堂有紀)
初露ちゃんと律ちゃんの百合の話。
これはSFとして好きというより、感情の描写が好きです。
もちろんこの物語の展開において「回樹」というSF要素が不可欠なのは言うまでもないが。
最後の「本当に愛していたとか愛していないとか、本物なのか偽物なのかは関係なかったのかもなって。頑張って千見寺初露を愛し続けようっていう気持ちは、もう愛と呼んで差し支えないんじゃないかって」というセリフが印象的。
回樹に死体を取り入れた結果、初露への愛を自覚したと解釈していますが、合ってない気もする…
もしもぼくらが生まれていたら(宮西建礼)
隕石への対処法を高校生が考える話。
3人で解決策を考えたが、他の人に先を越されてしまった際主人公が、「地球の裏側にも日本を助けるために知恵を絞ってくれる人」に対して喜びを感じているのがすごく好きでした。
自分たちが困っている問題に対して、遠くのあまり関係がない人が解決のために尽力してくれることを知ると自然と勇気が持てるよね。
九月某日の誓い(芦沢央)
1番好きです。使用人とお嬢様のお話。
ミステリー要素が強く、明確に騙されたと感じました。
お嬢様の強さに惹かれました。
そして私は「神の悪手」を買いました。
めっちゃ楽しみです。
くすんだ言語(黒石迩守)
娘が自殺したシングルファザーの話。
理論の納得感がすごい。
そして作品全体の暗い雰囲気が私のはらわたを刺激しました。
SFらしくて好きです。
ショッピング・エクスプロージョン(天沢時生)
アメリカのB級アクション映画みたいな話。
普段読まないジャンルすぎて新鮮だった。
何故ドンキのオマージュをしたのかが、最後のシーンでわかって、笑いました。
無脊椎動物の想像力と創造性について(坂永雄一)
the SFって感じの蜘蛛に世界が覆われそうな話。
ゲノム操作などの技術が生まれてきている世の中において、この物語から面白さのみを感じることは難しいなと思った。
ところどころで蜘蛛の生態などに触れつつ、蜘蛛の想像力と創造性を物語から感じさせられた。
不気味なのに、最後のシーンの描写はどこか神々しさすら感じた。