虜になる循環の生理学①本の紹介
呼吸循環に関する基本の部分(細かい知識はすべて後回しにしてきたつもりです)をいくつかの記事で述べてきました。
ここで、実は先月くらいに読んで感動した本があったので、紹介しておきます。一種の書評です。もちろん、本書が気になった方は買って読んでいただいても良いのですが、僕がいつも現場で後輩に伝えていることと一致することが沢山あったので、一部抜粋し紹介しておきます。
書名はタイトル通り「虜になる循環の生理学」です。
多くの生理学書は実践的立場から書かれていない
僕は常々、循環動態の評価に興味を持ち、どうしたらより良い点滴管理や薬の使い方ができるのだろうと思っていました。しかし、「循環生理」を題材にした教科書では往々にして実験データや細かい理屈や理論・研究データなどについての記載にページが割かれてしまっており、臨床医が現場での悩みを解決するのに「まったく」向いていないと思えるものばかりでした。僕も沢山購入しては積ん読になって、いっぱい失敗してきました。
多くの点滴に関する書籍は、慢性期のことばかり
また、これも述べてきましたが、点滴管理についても病棟で食事がとれない人向けの「一日必要量が〜水分はこうで、電解質はこうで」みたいな、「量」の話に偏り、循環動態を管理する必要のある患者の点滴管理について述べてくれているものはほぼ皆無でした(実は「ICU輸液力の法則」という良書が最近になって出てきました。リンクはついでに一番下に貼り付けておきます)。
なぜ、こんなにいろんな本を買っても、肝心なことに答えてくれる本が一冊もないんだろう?と思っていました(かろうじて、周術期の輸液管理とか、麻酔科向けの本はこの視点から語ってくれていましたが)。
現場で活躍する現役ICU医が、臨床に直結する生理学をゴリゴリ教えてくれる!
ここで、この書籍の登場です。臨床医の指南書として、現場ですぐ開いてすぐ使える。腑に落ちる教科書であること間違いなしでした。
著者は、現役のICU医です。だからこそ一番輸液管理に悩んでいろいろ勉強され、この境地に至ったのだろうなと、想像できるような、素晴らしい書籍でした。表紙やタイトルから想像されるような「堅苦しい記載だらけの教科書」とはうってかわって、現場での指南書です。カラフルで見やすく、ポイントもまとまっています。ちょっとした著者の経験論的な記載もありますが、すべて「生理学的な裏付け」と「ICU医としての経験」から語られており、それがまた実践的で良いなあと感じます(僕はこういう著者の「ホンネ」が溢れる本が好きです)。
では、内容の中で共感し、みんなにも知って欲しい知識を続きの記事で紹介していきます!
ちなみに、セットで読んで欲しい名著も載せておきます。この本の内容もいつか分かりやすく解説したいなぁと考えています。
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